明確な基準があるわけではないのですが、弁護士や司法書士の事務所のホームページ等に記載されているところによると、一般的なサラリーマンの場合、総額200万円、毎月の返済額が10万円超になってしまうと健全な債務状況とは言えず、債務整理を検討すべきであるとのことです。
まずは、債務整理の具体的な手続きなどの説明に入る前に、そもそも「債務整理」とは何かについてご紹介していきましょう。
債務整理の定義~支払困難な借金を法的に解決すること~
債務整理(さいむせいり)とは、文字通り「債務(借金)」を「整理」することです。
「債務」とはWikipediaによれば、「ある者が他の者に対して一定の行為をすること又はしないこと(不作為)を内容とする義務」のことですが、一般的には「借金」のことを指す言葉です。
「債務」を「借金」に置き換えてみれば、多数の方が思い浮かべるのは何と言っても「住宅ローン」や「自動車ローン」でしょう。また、ほとんどの方がクレジットカードを所有している現在、「カードローン」をイメージされる方も少なくないかもしれません。
ただし、借金は銀行ローン、カードローン、キャッシング、消費者金融・・・等だけではありません。実はリボ払い[1]「リボ払い」とは「リボルビング支払い」のことで、毎月、あらかじめ指定した一定額を返済していく方式のことです。購入の高額商品・ローンを組んで買った自動車や家電製品等の残債[2] … Continue readingも含まれます。
消費者金融やクレジットカードを使って、キャッシングや買物利用、銀行のカードローンを使ってお金を借りたなどは全て債務(借金)に含まれます。
次に「整理」ですが、元来は「乱れた状態にあるものを整えて、きちんとすること」の意味ですが、ここでは、支払いが難しくなってしまった債務(借金)の支払いを、司法書士や弁護士が支払い可能な状態に変える(あるいは支払い不可能な場合には破産する)ことを指します。
債務整理の種類~借金の大きさで解決方法が異なってくる
債務整理には①任意整理、②個人再生、③自己破産などがあります。(他に「特定調停」という方法もあります。こちらは別途解説することにします)
この順番(任意整理→個人再生→自己破産)は債務整理を選択する際のデメリットの小さな順番[3]自己破産よりも個人再生の方が、個人再生よりも任意整理の方がデメリットが少ない、という意味ですでもありますので、債務整理をご検討される場合は、この順番で方法を決定していくように検討されると良いでしょう。
任意整理~最も利用されている方法
任意整理とは、裁判所が介入することなく、債務者(借金した人)あるいは債務者の代理人である弁護士や司法書士が直接、債権者である銀行や貸金業者(カード会社、消費者金融、街金など)と交渉して、「将来利息」や「延滞損害金(=滞納してしまった場合の損害金)などを免除してもらい、かつ分割[4]通常は残債を3年(=36回)あるいは5年(=60回)で支払うようにしてもらう手続きのことです。裁判所が介在しないため、個人再生や自己破産などとは異なり、「私的交渉」の位置づけになります。[5]任意整理に対して「個人再生」や「自己破産」などは裁判所を介在して行いますので「法的整理」と呼ばれます。
任意整理を選択すると、今後の金利がなくなり,借金の総額と毎月の返済額を減額できます。また、一部の借金だけ選んで整理することが可能です。場合によっては過払い金が発生し既に支払ったお金が手元に戻ることもあります。
ただし、債務者が直接金融業者と交渉しても、素人が行うにはハードルが高い点がありますので、弁護士あるいは司法書士に依頼するのが良いでしょう。
個人再生~住宅ローンを除く借金を大幅に減額できる!
個人再生は裁判所に介在してもらい、全ての債務のうち、一部を免除してもらい、残りの債務を3年間[6]5年間まで返済期間を延長可能なケースもありますかけて分割で支払う手続きのことです。
この手続きによって住宅ローンを除く債務を大幅に減額でき、おおよそ5分の1から10分の1まで減額されます。
ただし、個人再生は任意整理とは異なり、裁判所を通じて行う「法的整理」ですから、提出書類に始まり、再生計画について厳格さが要求されます。もし、債務者本人が法律に明るくない場合には独力で行うのは難しいでから、この場合は基本的に弁護士に依頼する必要があります。
自己破産~借金をチャラにできる唯一の方法!
自己破産に対して、その実態を知らずに、何となく「イメージ」で嫌悪感を持たれている方が多くいると思いますが,決してそのようなものではありません。一度、借金超過でつまづいてしまった人生をリセットして明るく前向きに生きていただくために国が作った制度です。
自己破産は裁判所を介して、全ての債務を免責(=支払い義務を免除してもらうこと)してもらう手続きです。要は言葉は悪いですが借金を「チャラ」にしてもらう手続きとなります。
なお、債務整理の中で借金をゼロにできる方法は自己破産のみとなります。
自己破産を行ったとしても、戸籍に残ったり,会社(就職)に影響があるわけではありませんし、家族が保証人でない限り、家族にも影響が出るわけではありません。
ただし、個人再生と同様に全ての債権者を平等に扱わなくてはいけませんので、注意が必要です。
また、全ての債務がなくなる反面、逆に保有している財産も清算しなければいけません。[7]今後の収入は生活費に充てることができます
・・・以上が「借金解決の切り札!債務整理の概要」になります。
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References
↑1 | 「リボ払い」とは「リボルビング支払い」のことで、毎月、あらかじめ指定した一定額を返済していく方式のことです。 |
↑2 | 「残債」とは、ローン返済中のある時点において、まだ返済していない借入金の残額(元金)のことを指すものです。「ローン残高」ということもあります。 |
↑3 | 自己破産よりも個人再生の方が、個人再生よりも任意整理の方がデメリットが少ない、という意味です |
↑4 | 通常は残債を3年(=36回)あるいは5年(=60回) |
↑5 | 任意整理に対して「個人再生」や「自己破産」などは裁判所を介在して行いますので「法的整理」と呼ばれます。 |
↑6 | 5年間まで返済期間を延長可能なケースもあります |
↑7 | 今後の収入は生活費に充てることができます |