どのくらいの人が債務整理しているんだろう?

債務整理

借金返済に苦労している債務者の方々が利用していることになりますが、1年間にどのくらいの件数の整理が行われているか、気になるところですよね。

今回は「債務整理の件数」についてまとめてみました。

自己破産

 

まずは、債務整理として最も知られている整理方法「自己破産」について見てみましょう。

自己破産は裁判所で扱われますので、申立件数について総務省統計局のHPで調べてみました。過去10年間の申立件数は以下の通りとなっていました。

【自己破産の申立件数】
年度 申立件数
2009年度 126,533
2010年度 121,150
2011年度 100,735
2012年度 82,901
2013年度 72,287
2014年度 65,393
2015年度 64,081
2016年度 64,872
2017年度 68,995
2018年度 73,268

 

グラフにするとこんな感じです。

f:id:swiftcapno7:20200319183700p:plain

過去10年間では2009年度をピークに下がり続けてきましたが、2015年度を”底”として、直近の3年間は漸増し始めています。(実は自己破産件数は2003年の24万件をピークに12年連続で減り続けていました1)この理由については、別途整理することにします)

 

では、なぜ増加に転じたのでしょうか?

 

弁護士事務所や司法書士事務所のHPでは概ね、以下のように分析しています。

自己破産申請件数が増加に転じた理由

銀行カードローン事業の拡大

2010年6月に「改正貸金業法」が施行されました。この法律により「借入可能な金額は年収の3分の1まで」とする「総量規制」が規定されました。このため、消費者金融や信販会社には貸付金額の上限ができましたが、銀行のカードローンは対象外でした。このため、多重債務を抑止するはずだったのが、銀行のカードローンを利用する人が増えることになり、結果的に新たに借金を背負う人が増えてしまいました。

過払い金の減少

2006年最高裁判所が過払い金の返還を認める判決を下しました。この結果「過払い金請求2)「過払い金請求」については別途、説明します」がブームとなりましたが、自己破産件数が増加に転じた、2016年度はこの過払い金請求ブームが沈下し始めた時期に相当します。3)過払い金請求の事項は最後に取引した日から10年後と定められましたので、2016年度は最高裁判所の判決から10年後なのです。

時効になれば、当然のことながら過払い金は返還されませんから、借金を抱えている人にとっては、借金の金額は減らず、自己破産申請の件数が増えたと考えられるわけです。

個人再生

次に個人再生についてですが、こちらもやはり総務省統計局のHPで調べてみました。過去10年間の申立件数は以下の通りとなります。(なお、個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2つがありますので、ここに表にまとめてみました。

【個人再生の申立件数】
年度 申立件数 内 小規模   個人再生 内 給与所得者   等再生
2009年度 21,388 19,452 1,936
2010年度 20,365 18,801 1,564
2011年度 16,799 15,476 1,323
2012年度 11,521 10,507 1,014
2013年度 8,800 7,980 820
2014年度 7,937 7,254 683
2015年度 8,124 7,474 650
2016年度 8,981 8,242 739
2017年度 10,339 9,543 796
2018年度 12,286 11,473 813

 

こちらもグラフに表すとこんな感じです。

f:id:swiftcapno7:20200319184851p:plain

個人再生も自己破産と同様に2009年度をピーク、”底”は2014年度。以降、2018年度にかけて、徐々に増加しています。

ただ、自己破産と比べると申立件数が少ないのは意外でした。

おそらく自己破産に比べると「個人再生」はあまり知られていないのが理由かもしれません。(民事再生の一部として「個人再生」がスタートしたのが2001年。まだ浸透していないのかもしれません)

 

任意整理

では、任意整理はどうでしょうか?

実は任意整理は「裁判所などを介さない”私的交渉”」です。

つまり、債務者が直接、サラ金などの消費者金融や街金のような金融業者と話し合い(交渉)を行って借金の金額や利息の減額、返済方法や期間について決めていくことになります。

ただし、サラ金などを相手にするということで、素人が行うにはハードルが高くなります。このため、一般的には弁護士や司法書士に依頼して債務者の代理として交渉してもらいますが、法的には何の効力もありません。

以上から任意整理の場合、自己破産や個人再生のように、申請件数や結審した人数が表に現れることはないというのが特徴になります。

あくまでも推測の域は出ませんが、任意整理を行う人は自己破産の数の数十倍にのぼるとも言われています。

以上、債務整理の件数について書いてみました。近年では債務整理の件数は増加傾向にあります。前回の「債務整理の検討タイミング」と併せて、ご参考になれば幸いです。

 

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References   [ + ]

1. この理由については、別途整理することにします)
2. 「過払い金請求」については別途、説明します
3. 過払い金請求の事項は最後に取引した日から10年後と定められましたので、2016年度は最高裁判所の判決から10年後なのです。
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