債務整理とは?

 

借金問題の解決方法で「債務整理」と言う言葉をお聞きになったことはありませんか?

「債務整理」とは借金の負担を減らすことができる法的手続きのことです。まずは、この「債務整理」について理解しましょう。

1.債務整理の定義

 

債務整理(さいむせいり)とは、その名のとおり「債務(借金)」を「整理」することです。

 

「債務」とは借金のことです。

 

身近なところでは「住宅ローン」を思い浮かべる方もいらっしゃるでしょう。またはマイカー購入時の「自動車ローン」をイメージされた方もいらっしゃるかもしれません。

 

ただし、借金は「住宅ローン」や「自動車ローン」だけではありませんよね。

消費者金融やクレジットカードを使って、キャッシングや買物利用、銀行のカードローンを使ってお金を借りたなどは全て借金に含まれます。

 

次に「整理」ですが、こちらは、支払いが難しくなってしまった債務(借金)の支払いについて、弁護士や司法書士が支払いしやすい環境に変える(支払いができない場合には破産)ことを指します。

 

では、次に債務整理の種類について見ていきましょう。

 

2.債務整理の種類

債務整理には任意整理・個人再生・自己破産などがあります。

この順番は債務整理を選択する際のデメリット*の小さな順番でもありますので、債務整理をご検討される場合は、この順番で検討されると良いでしょう。

*借金を有利な条件で返済する、あるいは「無し」にするわけですから、相応のデメリットもあります。

 

(1)任意整理

 

任意整理」を選択すると、今後の金利がなくなり,借金の総額と毎月の返済額を減額でき、一部の借金だけ選んで整理することが可能です。場合によっては過払い金が発生し既に支払ったお金が手元に戻ることもあります。

 任意整理は他の債務整理方法(個人再生や自己破産など)が裁判所が関与する法的措置であるのに対して、弁護士や司法書士が債権者と行う「私的交渉」の位置づけになります。

 

(2)個人再生

個人再生」というのは、大まかな言い方をすると、自己破産と任意整理の中間のような制度です。

つまり、自己破産と同様に裁判所に申し立てをするのですが、自己破産のようにすべての債務を免責にするというわけではなく、債務を大幅に免責(5分の1程度)にしてもらって、任意整理のように、長期の分割払いにしてもらう、という制度です。減額幅は、任意整理よりは大きくなります。

債務を大幅に免責(5分の1程度)にし、それを3年で支払うという計画案(再生計画案)が裁判所に認可されれば、債務は計画案に記載された額まで減額されます。そして、原則として3年での分割支払いが終われば、すべての債務がなくなります。返済期間については、特別な事情がある場合には、5年までの長期分割弁済が認められます。

任意整理とは異なり、裁判所により強制的に借金が減額されるので「任意整理で利息をカットしたり、月々の返済額を減らしたりしても、返し続けるのが難しい」という人(言い換えれば任意整理では対処しきれない債務を負う人)にとって魅力的な制度です。

 

(3)自己破産

 「自己破産」に対し「人生の終わり」のように非常にマイナスのイメージを多く持つ方もいると思いますが,そうではありません。前途ある人生を前向きに生きていただくため,借金超過で苦しんでいる人を救済するために国が作った制度です

 戸籍に残ったり,会社(就職)に影響があるわけではありませんし家族が保証人でない限り家族にも影響が出るわけではありません。
高価な財産を手放すことになりますが,今後の収入は生活費に充てることができます。

 自己破産のメリットは何と言っても「債務がなくなること」です。他の債務整理がどんな条件であれ、債務も返済も残るのに対して、自己破産は言葉は悪いですが、「借金をチャラ」にできます。

また、デメリットは信用情報機関にその事実が登録されますので、一定期間(5~7年間)、クレジットカードの作成は認可されず、銀行から住宅ローンを初めとして融資が受けられなくなります。また、申請から免責決定までの期間は就く職業に制限がある、などのデメリットもあります。

 

以上が主な債務整理の方法です。他に「特定調停」がありますが、こちらは裁判所で調停委員を仲介して各債権者(金融業者など)と交渉して、債務の減額や利息の免除などの条件を決めて和解する手続です。こちらは債務者自身が行うのが一般的ですので、債権者との交渉など素人が行うにはハードルが高いものとなっています。

 

3.債務整理が認められる法的根拠

 

「利息がカットされる」

「借金の支払いが大幅に減少される」

・・・と言われても、「自分にも債務整理が本当にできるのだろうか?」「そんなにうまい話がなぜ認められているの」などと心配になるのも当然です。

もちろん債務整理をすることはできます。

 ただ、当然に認められるわけではなく、あくまで法的な手続きとして行っていくものです。そのため、弁護士司法書士(正しくは「認定司法書士」)の資格を持っている人間のみが行うことができるものです。

 

では、その根拠は何でしょうか?

 

2の債務整理の種類ごとに、その根拠を見ていきましょう。

 

(1)任意整理~民法の契約自由の原則が根拠

任意整理は裁判所を使わない簡易な債務整理ですが、その法的根拠は民法の「契約自由の原則」に則ったものです。クレジットカードを例に整理してみましょう。

任意整理は「契約自由の原則」に基づき、現在のカードの契約を解除して、新しく任意整理契約を結んでいきます。

カードでお金を借りたり、買物をする(決済する)といった内容は一種の「契約」にあたります。カードを利用されている方は、この契約に従って借入れやお買物の利用、そしてその支払いを行っているわけです。

 

そして、契約には「解除権」というものが附帯しており、契約の解除は当事者双方からいつでも行うことができることになっています。

 

なお、契約には「解除権」が附帯されているのと同時に「原状回復義務」があります。

 

これは「損害が発生する場合にはその損害を賠償しなければならないというものであり、契約をしていなかったときと同様の状態に戻す必要がある」というものです。

 

また、民法では「契約自由の原則」というものが認められています。

これは「契約当事者は、基本的にその契約内容や契約するかどうかを両当事者で自由に決められる」というものです。

 

この契約解除権+契約自由の原則を合わせたものが任意整理の発想となります。

つまり、任意整理では、「契約解除権」に基づいて、いったん現在の契約内容を解除し(クレジットカード申し込み時の支払い方法を解除し)、契約自由の原則に従い、カード会社の了解を得て新たな支払いの契約を結んでいくことになります。

もちろん、契約自由の原則に従えば、カード会社の了解を得られないと任意整理契約はできないことになります。

ただし、カード会社の中で任意整理契約を拒絶するところは、ほぼありません。(クレジット会社・銀行では100%了承を得られ、消費者金融では一部の街金が拒絶する程度です)

 

しかし、注意する点として任意整理はあくまで「一種の自由契約」であるため、弁護士や司法書士の一方的要求によって契約内容を決めることはできません。(裁判所を通さない「私的交渉」の結果として任意整理契約を結ぶことになります)

 

カード会社などの意向も踏まえた上で、任意整理契約の内容を定めていくことになりますが、一般的に利息や手数料をカットすることやリボ払いの設定を白紙にすることにカード会社が否定するようなことはまずありません。

 

「でも、カード会社が損害賠償請求することはないの?」

 

このように疑問を持つ方もいらっしゃると思いますが、契約解除権を行使して任意整理契約を結んでも、損害賠償請求をされることもありません。

 

以下の点がその理由となります。

 

・損害賠償請求をしてしまうと任意整理はそもそも成り立たなくなってしまうこと

・債務整理の中でも任意整理はカード会社にとっても一番不利益の少ない債務整理であること

 

例えば「個人再生」では大幅に借金は減額され、「自己破産」に至っては借金は0になってしまうので、カード会社からすると、支払いが難しくなった場合に任意整理を選択してもらえるのは「最悪な状態ではなかった(自己破産や個人再生を選択されるよりはずっとマシだ)という考え」になるわけです。

 

(まとめ)

  • 任意整理では、契約自由の原則から、「契約解除権」に基づいて、いったん現在の契約内容を解除する。(クレジットカードの場合では申し込み時の支払い方法を解除することになる)
  • 次に債権者(クレジットカードの場合では、カード会社)の了解を得て新たな支払いの契約を結ぶ。

(2)個人再生~民事再生法が根拠

 個人再生は「民事再生法」という法律が根拠となります。

元々、民事再生という手続きは法人向けのものであり、「破産することな く、なんとか再生したい」という法人に向けて向け適用されていました。

 

しかし、民事再生は法人を対象としている手続きのため、個人が行うには、手続きが複雑であり、ハードルが高かったものでした。

そこで、民事再生法の中で特に個人向けの再生手続きとして、「個人再生法」が、民事再生法第13章で構成されることになりました。

 

個人再生法第一条には、「この法律は、経済的に窮地にある債務者について、その債権者の同意を得、かつ、裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により…」と規定されています。

 

つまり、経済的に窮地に陥っている(借金返済で生活費がほとんど残らない、給料のほとんどが返済に消えている)などの事情があって、個人再生をすることで生活の改善が図れるという再生計画を提出して、裁判所にお墨付きをもらえれば「個人再生」は認められるというわけです。

 

(まとめ)

  • 「個人再生」の法的根拠は「民事再生法」
  • 「民事再生法」はもともと法人向けのものであったが、個人向けの再生手続きとして、「個人再生法」が、民事再生法第13章で構成されることになった。
  • 個人再生をすることで生活の改善が図れるという再生計画を提出して、裁判所にお墨付きをもらえれば「個人再生」は認められる。

(3)自己破産~破産法が根拠

任意整理」や「個人再生」と比べると、一度はお聞きになったことがあると思いますが、「自己破産」は歴史の深い整理方法で、「破産法」を根拠に認められています。

破産法では「破産手続開始の原因」を以下のように定めています。

第15条

1.債務者が支払い不能にあるときは、裁判所は第30条の第1項の規定に基 づき、申立てにより、決定で、破産手続きを開始する。

2.債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する。

 

この破産法15条により、「支払不能=支払いができない人」は裁判所に申立てを行うことで破産手続きを利用できることになります。

ただ、注意すべき点として、「裁判所に申立てをすれば誰でも破産が認められるわけではない」ことが挙げられます。

あくまでも「支払不能」であり、裁判所に申立てを行って「破産を認めるべきである」という裁判官の判断があって、初めて自己破産は認められるわけです。

破産が認められるかそうでないかは、「支払不能」が条件になりますので、 申立ても審議の結果、「自己破産が認められない(=免責されない)」場合もあります。

⇒ これを「免責不許可事由」と言います。詳細は別項でご説明します。

 

(まとめ)

  • 「自己破産」は「破産法」を根拠としている。
  • 債務者の現状が「支払不能」であり、裁判所に申立てを行って「破産を認めるべきである」という裁判官の判断があって、初めて自己破産は認められる。
  • 審議の結果、「自己破産が認められない(=免責されない)」場合もある。

 

 

 

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