借金生活に苦しんでいる人、少々厳しい言い方をすれば「借金体質の人間」となります。
この「借金体質の人間」というのは、気持ちが年がら年中借金返済に苛まれたままですから、できる限り時間を掛けずに借金問題を解決するために「債務整理」を検討される方が良いと考えます。
債務整理については、1980年代の消費者金融などからの借金を整理するために、2000年辺りから採り入れられてきた方法だと言われています。
この方法は弁護士などに委託して借金問題を解決することを指しますが、国の方も新しい制度を創設するなどしてバックアップをしたという経緯があります。
その「債務整理」の中で「個人再生」と「自己破産」は裁判所が介在する「法的整理」ですが、「個人再生」は比較的、新しい解決方法です。[1]上で書いた「国の方も新しい制度を創設する」・・・「個人再生」が該当します。
もともとは法人向けの「民事再生法」は個人に適用するのが難しかったのですが、2001年に改正を受けて「個人再生」の手続きが制定されました。
さて「個人再生」では借金を大きく圧縮でき、住宅などの財産を維持できるという魅力ある制度となっていますが、手続きが面倒であったり、必要書類が多種多様となっています。[2]上記のメリットを享受するためには、仕方ない部分でしょう。
なお、必要書類は以下のように大別されます。
(1)申立時に必要な書類
①裁判所から取り寄せるもの
②個人で用意する添付書類
(2)申立後に必要な提出書類
本稿では、「個人再生の申立時に必要な書類」として「個人で用意する添付書類」についてご紹介します。(上記(1)-②)
個人で用意する個人再生の申立に必要な添付書類とは?
個人再生の申立を行う際に添付書類として以下のものがあります。
- 申立人を特定する書類
- 財産・家計を示すための書類
- 債務に関する書類
- 住宅ローン特則利用者のための書類
では、順に整理していきましょう。
申立人を特定する書類
まず、戸籍謄本と住民表を取り寄せなければなりません。これらは申立本人を特定する上で必要な書類として提出します。
戸籍謄本
世帯全員分を提出しますので、1通ずつ必要になります。注意しなければいけないのは、発行日から3ヶ月以内の謄本を用意する点です。
また、本籍地の役所にて取り寄せることが一般的ですが、郵送や管轄官庁のホームページからダウンロードすることも可能となっています。
住民票
住民票も戸籍謄本と同様に、発行日から3ヶ月以内のものが必要となります。また世帯全員分の提出が必要です。取り寄せ方法に関しては自治体の役所にて確認してください。
財産・家計を示すために必要な書類
財産・家計を明確にする上で必要な書類を提出する必要があります。ここでは、それらの書類について紹介していきます。
給料明細書
3ヶ月分の給料明細書の提出が必要です。このため、再生手続きを開始する前から事前に保管しておくようにしてください。手元にない場合は、会社に再発行について問い合わせてください。
退職金見込み額証明書
「退職金見込み額証明書」とは、もし現時点で退職したら、どれだけの退職金が支給されるのかを示した書類です。こちらの書類は会社にて確認してください。もし、発行について理由を問われた場合は「住宅ローンの審査で必要」等の理由で答えることができます。[3]管理人は当該書類を交付してもらうために、そのように回答しましたが、特に疑われませんでした。
所得課税証明書
「所得課税証明書」は市区町村が発行する書類で、所得や課税額を証明するための書類です。この書類については過去2年分の証明書を提出しなければいけませんので、役所にて取り寄せることが必要です。
なお、所得課税証明書は、「現在住んでいる市区町村」ではなく「その年の1月1日時点に住所を置いていた市区町村」で発行されますので、注意してください。
また、自営業者の場合は、確定申告書の控えを用意してください。
通帳のコピー
申立人のお金の出入りを確認するために、過去2年分の通帳のコピーが必要になります。もし通帳を紛失されて手元になかったり、記帳内容で取引履歴が合算されている場合は、銀行・郵便局で取引履歴明細書を発行してもらってください。
自動車を所有している場合の提出資料
自動車を所有している人は、以下の資料を添付しなければなりません。
- 車検証のコピー
- 登録事項証明書
- 自動車の時価評価額を示すための査定書
登記事項証明書は運輸支局、または自動車検査登録事務所にて取り寄せができます。
なお、自動車の査定に関しては「日本自動車査定協会」で行ってもらうか、弁護士に相談されると良いでしょう。
公的扶助を受けている場合の提出資料
児童手当を受けている人、年金受給者、または被扶養人は、公的扶助を受けていることを示すための書類の提出が必要です。児童手当を受けている方であれば、児童手当支給決定書、年金受給者であれば年金通知書、被扶養者の場合は同居人の給料明細を用意してください。
保険証券
一般的に保険(自動車保険、火災保険、生命保険など)に入っていない人はがほとんどいないでしょう。保険にはも解約した際の解約返戻金があるものがありますが、これも財産の一部と見なされるため、保険証書、保険証解約返戻金証明書の提出が必要になります。
住居に関する書類
現在の住居に関する書類の提出が必要になります。
自分名義の住宅をお持ちの方は、「固定資産評価証明書」が必要になります。こちらの書類は管轄する市町村の役所にて発行することができますし、役所のホームページからダウンロードすることもできます。
賃貸暮らしの方は、「賃貸借契約書」、敷金が明記されてある「更新契約書」が必要になります。なお、社宅にお住まいの方は「社宅証明書」が必要になるので、会社にて取り寄せてください。
その他の財産を所有している場合
個人再生において、家電や洋服などの生活必需品に関しては「財産」に含まれません。この項目で指す「財産」とは以下の換金できるものとなります。
- 株券
- 貴金属
- ゴルフの会員権など
なお、換金する価値のある財産を所有している場合は、評価額を示すための「査定証明書」が必要になります。
ただし、自動車や不動産の時価評価額を算定する業者はありますが、それ以外の財産に関する査定をしてもらうためには、弁護士・司法書士へ相談してみましょう。
債務に関する書類
「個人再生の申立において債務に関して必要な添付書類」としては、不動産、車のローン、携帯の分割支払いも含め、全ての債務に関する情報が記載された書類が必要になります。
そのため、「借用書」、「返済予定一覧表」、「明細書」など債務に関する手持ちの書類は全て添付書類として提出しましょう。
また、税金、社会保険料の滞納分も債務に含まれるため、滞納者は「納税通知書」や「督促状」を用意してください。
なお、注意しなければいけない点として「税金・社会保険料の滞納料金は債務整理の対象から外れること」が挙げられます。
「個人再生」は、借金の減額交渉のための法的手続きではありますが、税金・社会保険料は対象外であり、減額されることはありません。
ただし、行政として税金・社会保険料について分割・減額支払いに対応してくれますから、まずは居住している市区町村の役所に照会してみてください。
住宅ローンの特則を利用するときに必要となる書類
個人再生においては、基本的に全ての債権者[4]銀行・カード会社・消費者金融・街金などの貸金業者の借金を対象にしなければなりません。
当然、住宅ローンも個人再生の対象に含まれるわけですが、個人再生が行われた場合、銀行側は「抵当権」を行使するのは必須の状況となります。
「抵当権」が行使されれば、対象の住宅は競売にかけられてしまいますが、個人再生手続きにおいては、「住宅ローンの特則」を利用することで、住宅ローンを個人再生の対象から外ことができます。
もし、「住宅ローンの特則」を利用するのであれば、個人再生の申立書に「住宅資金特別条項」の欄が設けられておりますので、ここにチェックを入れましょう。
また、添付書類として住宅ローンの「契約書」、「返済一覧予定表」が必要になります。加えて、自宅の中にお店、事務所を構えている方は「間取り図」を用意してください。
なお、「住宅ローン特則」を適用させる場合、住宅ローンの残高に対して住宅の時価評価額が高額な場合、個人再生によって減額される借金の割合が低くなります。そのため、ローンの残高と住宅の時価評価額を事前に見比べる必要があります。
・・・以上が「個人再生の申立時に必要な書類~個人で用意する添付書類~」のご紹介でした。
かなりの量の提出書類となりますが、一つ一つ漏れのないように準備することが重要です。
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