個人再生のメリット/デメリット

022_個人再生

この稿では個人再生のメリットおよびデメリットについて自己破産と比較する形で、詳しくみていきましょう。

個人再生のメリット

まずはメリットです。

メリットしては以下が挙げられます。

  1. 資格制限がなし
  2. 債務の原因が影響しない
  3. 持ち家を手放さなくても良いケースがある
  4. 自家用車も手放さなくても良いケースがある

では、それぞれ見ていきましょう。

資格制限がなし

自己破産では手続きに入ると免責(借金を返済しなくても良い状態)が認可されるまでの期間に就くことができない職業があります。

以下がそうです。

  • 弁護士
  • 司法書士
  • 古物商
  • 宅地建物取引主任者
  • 警備員
  • 保険外交員 等

しかし、個人再生ではこのような制限はなく、職業を問わずに手続きを利用できます。

債務の原因が影響しない

自己破産では借入の原因がギャンブルだったり、例えばクレジットカードで新幹線のチケットを大量購入して現金化したなどの事情がある場合は免責されないケースがあります。(これを「免責不許可事由」と言います)

しかし個人再生では債務(=借金)の原因が手続きの利用可否に影響をあたえることはありません。

持ち家を手放さなくても良いケースがある

持ち家の住宅ローンが残っている場合は、普通はその持ち家に「抵当権」が付いていますよね。

住宅ローンを完済していなくてローンが残っている状態で自己破産の手続きを行うと、銀行などの住宅ローンの債権者は抵当権を実行して、持ち家を売却したお金でローンの回収を行います。

つまり持ち家を手放さなければいけなくなります。

しかし、個人再生手続きの場合は「「住宅ローンだけは減額せずに支払いを継続し、他の借金は減額する」ということが可能です。

この手続きについては民事再生法における「住宅資金貸付債権に関する特則」というものに定めがあり、住宅ローンを支払い続けるタイプの個人再生手続きを「住宅資金特別条項を定める個人再生手続」と呼ぶようです。

ただ、この特別条項を利用する場合には住宅ローンを個人再生手続き開始以前と変わりなく支払い続けなければいけないうえに、その他の債権者に対しても再生計画案に従った返済額を支払わなければいけません。

こうなると、毎月の返済額について余裕をもって支払うことができる人でなければ、利用できないわけですね。

また(これも重要なことですが)、住宅ローンを延滞している場合には、再生計画が確定するまでに、延滞金を全て支払って遅延のない状態にしなければなりませんので、もし延滞額が高額であると難しいことになります。

実際の返済額をシミュレーションしてみると・・・。

  • 住宅ローンの残高:3000万円(ローン残額が家の価値を上回っている場合です)
  • 住宅ローンの返済月額:10万円
  • 他の借金総額:700万円
  • 他の借金の返済月額:12万円
  • 返済月額の合計:22万円
  • 無理なく返済できる金額:15万円

⇒ 15万円-22万円=-7万円(毎月7万円の不足)

ここで小規模個人再生手続き後を見ると。

  • 住宅ローンの残高:3000万円(ローン残額が家の価値を上回っている場合です)
  • 住宅ローンの返済月額:10万円
  • 他の借金総額:140万円(700万円の5分の1
  • 他の借金の返済月額:3.9万円
  • 返済月額の合計:13.9万円

借金が減額されますので、返済月額が13.9万円(8万円程度が減る計算)となり、無理なく返済することが可能になります。

自家用車も手放さなくても良いケースがある

自己破産では「価値のある(=換金できる)資産は、お金に換えて借金の返済に充ててからでないと借金をゼロにできない」ことになっています。

自分名義の財産、例えば自動車の場合、資産価値が20万円超であれば処分(換金)しなければなりません。

これに対し、個人再生では自分名義の自動車の価値は「清算価値」とされますが、その自動車の価値だけ個人再生手続きで返済していけば手放さなくとも良いとされています。

例を挙げて見ていきましょう。

今、借金総額が1000万円ある人がいて、100万円の価値のある自動車を保有していたとします。(便宜上、他の財産はないとします)

この人が自己破産した場合、100万円(自動車を売却してつくったお金)を債権者全員に分配し、残った900万円は免責されます。

個人再生を選択した場合では、まず1000万円が200万円に減額(5分の1まで減額)されます。そして、この200万円を36回で支払うことができれば、車を手放す必要はないことになります。(月額5万6000円程度の支払い)

ただし、個人再生手続きでは「清算価値保障原則」がありますから、「車を手元に残したまま、自己破産と同額の免責を受けること」は認められません。しかしながら、どうしても手放したくない愛車であれば、自己破産より免責額が減っても、個人再生手続きを選択するのもアリかもしれません。

なお、ローン支払い中の自動車については車そのものが担保になっており、車検証の名義人がローン保証会社であれば、上述の方法は取れません。(所有権留保特約によるものです)

この辺りは弁護士と相談するべきでしょう。

個人再生のデメリット

次は個人再生のデメリットについて説明します。

個人再生のデメリットは概ね、以下の通りとなります。

  1. ブラックリストに載ってしまう
  2. 官報に記載されてしまう
  3. 自己破産よりも経済的な負担が大きい
  4. 原則として弁護士の選任が必須

では、順番に見ていきましょう。

ブラックリストに載ってしまう

個人再生手続きの申立てを行い、裁判所の決定によって晴れて借金が減額されたとしても、その事実は信用情報機関に登録されることとなります。これが巷間、よく言われるところの「ブラックリストに載る」というやつです。

登録される信用情報機関(日本信用情報機構、シーアイシー、全国銀行個人信用情報センターが有名です)にもよりますが、登録されている期間は5年~10年であり、その期間は新たな借り入れやクレジットカードの新規発行は難しくなります。

そのため(ここが重要な点ですが)、手続きに入る前に「数年間(場合によっては10年間)は借金ができない」ということを肝に銘じることが必要となります。

官報に記載されてしまう

「官報」とはなんでしょうか?

ウィキペディアでは以下のように記載されています。

「官報(かんぽう)とは、日本国の機関紙である。国としての作用に関わる事柄の広報および公告をその使命とする。」

つまり国家として国民に広く知らせるべき事項が掲載されていることになります。

では個人再生手続きをすると官報に何が記載されてしまうのでしょうか?

以下の3回のタイミングで申立人の名前・住所が載ることになっています。

  • 個人再生手続開始決定がされたとき
  • 再生計画案が提出されたとき
  • 再生計画認可(あるいは不認可)の決定がされたとき

もっとも、官報を日常的に(毎日欠かさず)閲覧している人はそういません。(というかまずいません)

また、非常に細かい字で多くの人が記載されていますので「偶然にも個人再生手続きを行った〇〇さんが知り合いに見られてしまった」ということはほとんどないといっていいかもしれません。(というか普通に考えて皆無に近いと思います)

ただ、余談ではありますが、それほど多くの人が借金返済で苦労していることにもなりますね。

むしろ官報に記載されてしまったことで懸念される事項があるとすれば、官報に記載されてしまった住所宛にヤミ金からの借入の勧誘チラシが送られてくることがあるということでしょうか。

こちらはうっとおしいだけでなく、今までの借金生活から決別した(決別しようとしている)時の誘惑ですので、その誘いに乗ることのないようにしなければなりません。(とても大事なことです!)

自己破産よりも経済的な負担が大きい

まず、当然のことですが、個人再生手続きは自己破産とは異なり、借金がゼロになるわけではなく、減額さあれるものの、必ず一定額は返済しなければいけませんから、「経済的な負担は大きい」ことが挙げられます。

ですので、個人再生手続きを利用するには、以下の条件に限定されると考えたほうが良いかもしれません。

すなわち、

  • 警備員などの資格制限がある職業に就いていて、自己破産手続きを行うと借金がゼロになる引き換えに現在の職業をやめなくてはならない
  • 住宅ローンがまだ完済しておらず、自己破産手続きを行うと、現在住んでいる自宅を手放さなくてはいけなくなる

ことです。

借金生活で悩んでいる人にとっては、いろいろな選択肢がありますから、どの選択肢が良いかの判断は難しいですので専門家(弁護士や司法書士)に相談した方が安心で確実だと思います。

原則として弁護士の選任が必須

これまで書いてきた通り、個人再生手続きは弁護士や司法書士などの専門家に依頼した上で申立てるのが必須条件でした。ある地方裁判所のホームページには「一般的に、弁護士に依頼せずに、本人で日常の仕事に従事しながら、個人再生の申立て手続きを遂行していくことは、実際には相当に難しいと思われます」と記載されています。

でも

「専門家に依頼すると費用はどれ位かかるの?」

「お金に困っているから債務整理しようと思っているのに、高額の手数料だったら払えないよ」

こんな風に考えてしまいますよね。

では、弁護士や司法書士に依頼すると費用はどれ位かかるのでしょうか?

事務所によってかなり異なるようですが、以下の金額が一般的なようです、

  • 司法書士に依頼する場合:20万円~30万円
  • 弁護士に依頼する場合 :30万円~50万円

確かに結構な金額がかかってしまうようですね。

では、なぜ司法書士と弁護士とでは費用が異なるのでしょうか?

司法書士は「個人再生手続きに必要な書類の作成のみ」に携わり、裁判所とのやり取りは全て申立て者本人が行う必要があるからです。

一方、弁護士に依頼する場合は裁判所とのやり取りを含めて全て弁護士が代理人として行うことができる、というのが、その理由となります。

とにかく安く済ませるのであれば(そのためには申立人として法律の知識を含めて相当な努力を要します)、司法書士に依頼し、金銭的な余裕があれば(借金返済で金銭的な余裕などないのが通常ですが)、弁護士に依頼するほういが良いと思います。

(弁護士事務所では支払いについて分割支払いなどもオーケーなところもありますので、探してみると良いでしょう)

以上が個人再生のデメリットとなります。

 

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