「個人再生」では「小規模個人再生」および「給与所得者等再生」のいずれにも「個人再生委員」が選任されるのが基本です。
さて、この「個人再生委員」ですが、裁判所によって選任された場合、「申立人(債務者)」との面談がセッティングされることがあります。
この面談ではどのようなことを打ち合わせるのでしょうか?
借金がかさんで「個人再生」を申し立てている側とすれば、借金の負い目もありますから、厳しく追及されるんじゃないかと気が気じゃない方もいらっしゃるでしょう。
本稿では「個人再生委員との面談」についてご紹介致します。
「個人再生委員」の選任とは?
「個人再生」では「債務者(申立人)」が自身で手続きを進めていかなければならないのが基本です。[1]ただし、「申立人」が代理人弁護士を立てた場合には,その代理人弁護士が「申立人」に代わって進めていくことになります。
・・・そうは言っても「個人再生」は法人向けである「民事再生」よりも簡素化されているとはいうものの、その手続きは複雑な面が多々あります。
このため、「個人再生手続き」では,裁判所が「個人再生委員」を選任することがあります。
「個人再生委員」が選任されると,その個人再生委員は「申立人(債務者)」の手続きについて「指導・監督」することになります。
また、「個人再生委員」は手続きを「指導・監督」するとともに、裁判所に対して「再生手続開始」や,「再生計画認可」に関する意見などを提出します。[2]個人再生委員の意見は,裁判所の判断に対しても非常に重大な影響力を持っています。
ただし、誤解のないように書いておきますが、「個人再生委員」自身が、「個人再生手続き」を遂行することはありません。あくまで「指導・監督」です。[3]この辺りが「破産手続き」を遂行する「破産管財人」の役割とは異なります。
「個人再生委員」との面談はいつ行うのか?
「個人再生」の申立てを、裁判所が受理すると、その事件の内容によって、「個人再生委員」選任の決定が行われます。
「個人再生委員」の選任後、「申立人」は「個人再生委員」との面談[4]「打ち合わせ」・「面接」とも呼ばれています。を行うことになります。
面談の時期について、明確に選任後〇〇日以内などと定められているわけではありませんが、「個人再生委員」選任がなされてから,できる限り速やかに行うこと、とされています。[5] … Continue reading
なお、「個人再生委員」との面談は,通常1回となっています。[6]事案によっては,複数回面談がなされるということもありますが非常に稀です。
また、「申立人」が代理人弁護士を立てていれば、もちろん,面談には代理人弁護士も同席することになります。
「個人再生委員」との面談はどこで行うのか?
「個人再生委員」に選任されるのは、通常、「個人再生」の申立てを受理した裁判所の管轄内の法律事務所(弁護士事務所)の弁護士となっています。
このため、「個人再生委員」との面談は、「個人再生委員」に選任された弁護士の事務所内で行われるのが一般的となっています。
「個人再生委員」との面談では何を話し合うのか?
上述の通り、「個人再生委員」は「申立人」と面談することによって「個人再生委手続きを開始して良いか?」の判断を下します。[7]つまり、「個人再生の開始要件」を満たしているか?の判断を下す、ということです。
このため、「個人再生委員」との面談では、この「開始要件」に関する事項について、申立人から事情聴取を行うことになります。
したがって,個人再生委員との面談では,個人再生の手続開始要件に関する事項を聴取されることになります。
なお、「個人再生委員」が選任されると、裁判所から申立人(あるいは代理人弁護士)に誰が選任されたか、また連絡先等について連携を受けます。
また、同じタイミングで「個人再生委員」には当該事件の「個人再生申立書」の副本が送付されます。
面談に際して「個人再生委員」はこの申立書を読んでいるわけですから、面談では申立書や添付資料での不明点などを聴取することになります。
具体的には以下の点が聴取されます。
- 収入の状況(申立書に記載の収入を継続的に維持できるか等)
- 支出の状況(再生計画に基づく返済期間中に支出が増大する可能性の有無
- 申立書記載以外の財産の有無
- 申立書記載以外の債権者の有無
その他、面談では新たな資料の提出が求められることや収支管理の一環で、「再生手続き終了」までは最新の通帳履歴や家計簿等の提出を継続するよう要求されることもありますので、注意してください。
面談では基本的に上述のような点について聴取されますが、間違っても虚偽の回答をおこなってはなりません。[8]質問に対して誠実に答えない場合は不振に思われる事項があると評価されて最悪の場合は「個人再生手続き」が開始されないケースもあります。
・・・以上が「個人再生委員との面談内容」についてのご説明となります。
おすすめの弁護士事務所はこちら
おすすめの司法書士事務所はこちら
トップに戻る
References
↑1 | ただし、「申立人」が代理人弁護士を立てた場合には,その代理人弁護士が「申立人」に代わって進めていくことになります。 |
↑2 | 個人再生委員の意見は,裁判所の判断に対しても非常に重大な影響力を持っています。 |
↑3 | この辺りが「破産手続き」を遂行する「破産管財人」の役割とは異なります。 |
↑4 | 「打ち合わせ」・「面接」とも呼ばれています。 |
↑5 | 東京地方裁判所では概ね申立日から1~2週間で面談が行われ、「個人再生委員」は裁判所あてに再生手続き開始の「意見書」を申立後3週間以内に提出するというスケジュールが一般的です。 |
↑6 | 事案によっては,複数回面談がなされるということもありますが非常に稀です。 |
↑7 | つまり、「個人再生の開始要件」を満たしているか?の判断を下す、ということです。 |
↑8 | 質問に対して誠実に答えない場合は不振に思われる事項があると評価されて最悪の場合は「個人再生手続き」が開始されないケースもあります。 |