個人再生委員って何だろう?~「個人再生」に欠かせない存在~

個人再生

「債務整理」と呼ばれるのは借金返済を完結させるための減額交渉の1つで、借金解決の為の手っ取り早い方法だと言えます。

「債務整理」は、1980年代の消費者金融などからの借金を整理するために、2000年辺りから採り入れられてきた方法だと言われています。

そして、国の方も新しい制度を創設するなどしてバックアップをしたというわけです。

「個人再生」もその一つです。

「個人再生」は個人版民事再生手続のことであり、裁判所を介して実施されるのが基本です。この「裁判所の介在」があるため、一定程度の拘束力があるわけです。

また、個人再生には「小規模個人再生」「給与所得者等再生」という異なる整理方法がありますが、双方とも、「それなりの稼ぎがある(=収入の継続性・安定性)」が必要になります。

→ 「小規模個人再生」の詳しいご説明はこちら

→ 「給与所得者等再生」の詳しいご説明はこちら

さて、「個人再生」は裁判所が再生計画に認可することが絶対条件となりますが、この「再生計画」作成(および認可)について、相応に難易度が高いこともあって、「個人再生」に踏み切るのに二の足を踏む人も多いようです。

そして、「再生計画」に限らず、「個人再生」の手続において、以下のような役割を果たすために裁判所が指定する人がいます。

  • 債務者の財産・収入の状況の調査を行う
  • 再生債権の評価に関し裁判所を補助を行う
  • 再生債務者が適正な再生計画案を作成するために必要な勧告を行う

この人たちを「個人再生委員」と言います。

本稿では「個人再生委員」についてご紹介します。

 

個人再生委員とは?~「民事再生」における「監督委員」の個人版~

個人再生の手続で、もう一つの「法的整理」である「自己破産」と異なる点は「債務者」1)借金問題を解決するために「個人再生」の申立てをした人のことです。が自ら、債権者2)借金の借入先、カード会社や消費者金融、街金などの貸金業者のことです。と交渉し,再生計画案を立てるなどの手続を行っていかなければならないという点です。

しかし「債務者」が自ら独力で手続きを行うのは困難な場合がありますし、一方で不正等により債権者の公平を害するという危険性もないとは言えません。

その点を踏まえると、第三者的な見地から「再生計画」作成を含む「個人再生」手続きについて、「債務者」への指導や監督が必要となってきます。

もちろん、「個人再生」の手続き自体は、裁判所が監督することになるのは言うまでもないことですが、「個人再生」の手続きについて問題ないように進め、一つ一つ確認していくためには、「債務者」にマン・ツー・マンの形で指導監督を行うのが望ましいと言えます。

以上から「個人再生」の手続きにおいて、裁判所が個人再生委員選任し、その個人再生委員が個々の個人再生手続について指導監督させることができるものとされています。3)民事再生法223条1項では、「裁判所は、・・・(中略)・・・必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、一人又は数人の個人再生委員を選任することができる。」としています。

もともと「個人再生」は民事再生手続の個人版ですが、本家(?)の「民事再生手続き」においても、裁判所が選任した「監督委員」が再生手続を指導監督しています。

個人再生委員の選任とは?

上述の通り、裁判所は「個人再生」の手続きについて指導監督をさせるために「個人再生委員」を選任できますが、選任するかどうかは、個々の申立事案に応じて裁判所が決定しています。

すなわち、個人再生手続を進めるにあたって個人再生委員を選任せずに行うケースもあるということです。4)実際のところ、裁判所の多くでは「原則的運用」として「個人再生委員を選任しない」としています。

・・・そうは言うものの、「個人再生委員」を選任し、手続きを客観的に確認することで、より的確に進めていけることが確かなのも事実です。

そのため、東京地方裁判所では全件につき個人再生委員が選任されるという運用を原則としています。

なお、個人再生委員は弁護士等の「個人再生手続き」に精通した者が選任されることになります。資格要件としては実質的に「弁護士」であるようで、弁護士以外の者が選ばれたという例は皆無となっているようです。

東京地方裁判所本庁では選任基準を以下のように定めて運用しています。,

  1. 23区内に所在する法律事務所に所属する弁護士であること
  2. 1のうちで個人再生手続の申立てや破産管財人等の経験が多いこと
  3. 1,2のうちで弁護士登録10年以上の弁護士であること

個人再生委員の役割とは?

個人再生の手続きは「債務者」が自ら進めていかなければならないことになっています。ですから、裁判所が個人再生委員を選任するからといって「個人再生委員」が主導して「個人再生手続き」について手取り足取り行ってくれるわけではありません。

そうは言っても、「債務者」が「個人再生手続き」を進めていくに当たって、重要となる手続きのマイルストーンやイベントなどの節目においては、「個人再生委員」の指導・監督が行われます。「個人再生委員」は各節目のタイミングで裁判所に対して、「個人再生手続き」の進行について意見を述べることになっています。

実は、ここで表明される「個人再生委員」の意見が裁判所の判断に重大な影響を及ぼしています。5)実際のところ、ほとんど決定的な影響を及ぼすといっても過言ではありません。

では、個人再生委員は「個人再生手続き」において、どのような役割を担っているのかについて、見ていきましょう。

個人再生委員の役割①~再生手続開始前

「個人再生手続」の申立てが受理されると「個人再生委員」が選任されます。選任後にすぐ「債務者」と「個人再生委員」との打合わせ・事情の聴取が行われます。

また、東京地裁で行われている「履行可能性テスト」6)東京地方裁判所では「再生計画」の認可決定の判断資料の1つとして、「本当に弁済できるのかどうかをテストするため,一定期間、「個人再生委員」に対して弁済していくことになるであろう金額を毎月支払ってみる」ということを行っています。これを「履行可能性テスト」と言います。は、「個人再生委員」が管理します。この「履行可能テスト」を行う際に必要な銀行預金口座7)この口座に履行可能性テストのための予納金を毎月振り込んでいくことになります。などの連携が行われます。

「個人再生委員」は「債務者」への事情聴取や履行可能性テストの初回支払い状況などをもとに「個人再生手続を開始すべきかについての意見書」を作成して裁判所に提出します。

この意見書が「個人再生手続開始の決定」に重大な影響を与えることになります。

個人再生委員の役割②~再生手続開始後

個人再生委員は「個人再生手続き」が開始後も、「債務者」が作成した「債権者一覧表」や「再生計画案」などの書類提出に際してそれらをチェックします。そのチェック結果に応じて、修正等の助言を行うこともあります。8)あくまでも「中立・公平性を害しない程度」で行う、とされています。

また、その他にも「個人再生委員」は「債権者」の付議や付意見の決定や「再生計画認可決定」についても裁判所に対して意見を述べることになります。

これらの個人再生委員の意見は、他と同様に裁判所が「付議・付意見決定」や最終的な「再生計画の認可決定」などの判断において重大な影響を持っていきます。

なお、再生債権の評価申立てがなされた場合には「個人再生委員」が必ず選任されることになっており,この個人再生委員が再生債権の評価手続を主導していくことになります。

以上から、「個人再生委員」は「個人再生手続き」の様々な場面で重要な役割を果たしています。

個人再生委員の役割③~再生計画認可決定後

「個人再生」においては「再生計画認可決定」が確定すれば「個人再生手続き」自体としては終了ということになりますが、この時点で「個人再生委員」も解任されることになります。

しかしながら、「再生計画」に基づく弁済の遂行中に「再生計画変更の申立て」や「ハードシップ免責の申立て」等が行われた場合には、新たに「個人再生委員」選任されます。

この「個人再生委員」が、調査のうえ、意見を述べることになります。9)この場合、選任される個人再生委員は前と同じ弁護士が選任されるのが通常となっています。

 

・・・以上が「個人再生における「個人再生委員」の役割」についてのご紹介でした。

 

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References   [ + ]

1. 借金問題を解決するために「個人再生」の申立てをした人のことです。
2. 借金の借入先、カード会社や消費者金融、街金などの貸金業者のことです。
3. 民事再生法223条1項では、「裁判所は、・・・(中略)・・・必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、一人又は数人の個人再生委員を選任することができる。」としています。
4. 実際のところ、裁判所の多くでは「原則的運用」として「個人再生委員を選任しない」としています。
5. 実際のところ、ほとんど決定的な影響を及ぼすといっても過言ではありません。
6. 東京地方裁判所では「再生計画」の認可決定の判断資料の1つとして、「本当に弁済できるのかどうかをテストするため,一定期間、「個人再生委員」に対して弁済していくことになるであろう金額を毎月支払ってみる」ということを行っています。これを「履行可能性テスト」と言います。
7. この口座に履行可能性テストのための予納金を毎月振り込んでいくことになります。
8. あくまでも「中立・公平性を害しない程度」で行う、とされています。
9. この場合、選任される個人再生委員は前と同じ弁護士が選任されるのが通常となっています。
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