個人再生で借金はどれくらい減る?(減額の目安)

03_個人再生

個人再生をするときには、同じ債務整理手続きである任意整理よりも大きく借金を減らすことができます。任意整理では、個別の債権者の同意が必要ですが、個人再生では「民事再生法」という法律に定まった方法で、個々の債権者が同意しなくても借金を減額できるからです。

ただ、個人再生でも自由に借金を減額できるわけではありません。

では、債務の圧縮はどのくらいか見ていきましょう。

個人再生手続きの債務の支払額を理解しよう

個人再生手続きによる債務の圧縮は以下の通りとなります。

【個人再生手続きの債務の支払額】

負債総額 債務支払額
借金額が100万円以下 債務全額(減額なし)
借金額が100万円~500万円 100万円
借金額が500万円~1500万円 5分の1にまで減額される
借金額が1500万円~3000万円 300万円にまで減額される
借金額が3000万円~5000万円 10分の1にまで減額される

上図のように、個人再生では借金が多額になるほど、減額率が高くなります。借金額が3000万円~5000万円の場合には、10分の1である300万円~500万円にまで減るので、とても効果的です。

反対に、借金額が100万円以下であれば、個人再生をしても借金が減りません。借金額が少ない場合には、任意整理の方が適しているケースが多くなります。では、圧縮後の債務支払いについて月額にするとどのくらいになるでしょうか。おおよそ以下の通りとなります。

【債務減額と返済予定額の例】

債務総額 減額後の総額 月の返済予定額(3年の場合)
100万円 100万円 約2万8000円
300万円 100万円 約2万8000円
500万円 100万円 約2万8000円
700万円 140万円 約3万9000円
1,000万円 200万円 約5万6000円
1,500万円 300万円 約8万4000円
2,000万円 300万円 約8万4000円

このように債務総額(借入額の総額)が300万円の人が、個人再生をすると100万円だけを返済すれば良いことになりますが、個人再生では原則として3年間の分割払いで支払うことになりますから、月の返済は2万8000円程度になります。

借金総額が300万円の人だと、個人再生の手続きに入る前の返済額が月額で3万円以下ということはないでしょうから、月の返済総額を抑制できるというのも、個人再生の大きなメリットの一つです。

なお、「給与所得者等再生手続」では表(【個人再生手続きの債務の支払額】)の基準①により減額された債務額と②「自分の可処分所得(自分の収入の合計額から税金や生活費用として政令で定められた費用を控除した残額)の2年分の金額」を比較して、どちらか高い額の方を支払うことになります。

では②の「可処分所得の2年分」とは、いったいどういうものでしょうか?

可処分所得とは、収入のうち、本人の自由に処分できる金額のことです。具体的には、収入の金額から税金や社会保険料、最低限の生活費を差し引いた金額が可処分所得となります。可処分所得の金額は、被扶養者や居住地域などによって異なる数字になります。給与所得者等再生は、サラリーマンや公務員などの給与所得者が利用する手続きなので、給与額からそうした控除分を引き算して、2年分を計算して可処分所得の2年分を算出します。

上述の②は①よりも高額になってしまうことが多いため、「給与所得者等再生手続」を選択すると、「小規模個人再生手続」と比べて返済総額が大きくなってしまう傾向があります。そこでサラリーマンの方でも、債権者がクレームをつけてこないと判断できる場合には「小規模個人差姿勢手続」を選択することも十分に可能です。

清算価値保障原則を理解しよう

清算価値保障原則とは?

さらに、「小規模個人再生手続」でも「給与所得者等再生手続」でも③「自分の財産を全て処分した場合に得られる金額」と①・②で書いた基準で減額された借金総額と比較して③の金額のほうが大きい場合、③の金額を36回分割して支払うことになります。これを「清算価値保障原則」といいます。

清算価値保障原則とは、「個人再生手続では、自己名義の財産を全て処分した場合に得られる以上の金額を返済しなければならない」という原則です。

前項で挙げた例で言えば、債務総額が300万円である人が50万円の価値を持つ車を所有し、70万円の生命保険の解約返戻金がある場合に、個人再生を行うと、返済しなければいけない借金の総額は100万円ではなく、120万円(50万円+70万円)になるということです。

この原則は「破産手続では、自己名義の財産をすべて処分した場合にのみ借金をチャラにする(=借金をゼロにする)ことが認められているにもかかわらず、個人再生手続を選択した場合に自己名義の財産の総額を下回る額の返済しかしないで良いということになれば、破産手続と個人再生手続との間の公平が保てなくなる」ということを、その理由としています。例を見てみましょう。

【2つの手続きにおける返済総額の決め方】

Aさん Bさん Cさん
借金総額 500万円→100万円 700万円→140万円 1000万円→200万円
自己名義の財産の価値の総額 120万円(小) 120万円 250万円(小)(給)
可処分所得の2年分の額* 150万円(給) 150万円(給) 170万円

*小規模個人再生では考慮されない

(小):小規模個人再生手続における返済総額

(給):給与所得者等再生手続における返済総額

【解説】

AさんとBさんは「小規模個人再生手続」を選択したほうが、返済総額が小さくて済むことになります(ただし、再生計画にクレームをつけてきそうな債権者が含まれる場合は「給与所得者等再生手続」を選択することになります。

Cさんについては、自己名義の財産の総額が大きく、どちらの手続きを選択しても返済総額が変わらないため、再生計画が認可されやすいように「給与所得者等再生手続」を選択すべきということになります、

清算価値の財産と評価方法

清算価値保障原則で計算対象になるのは、以下のような財産や権利(債権)です。評価方法と併せて整理してみましょう。

 

現金 現金の額
預貯金 預貯金の額
生命保険 解約返戻金の金額
自動車やバイク 査定額。ただし、登録後6年以上が経過していると、価値がないと判断されるケースが多い
不動産 不動産会社による査定額。ただし、住宅ローンがある場合には、査定額からローン残額を引いた金額
株式、投資信託 時価
貸付金 未回収の金額
売掛金 未回収の金額
退職金 退職金評価額の8分の1(正社員で勤続年数が3年以上のケース)
損害賠償請求権 交通事故などに遭って、加害者に対して損害賠償請求権を有している場合にも、その金額が財産と評価されます。
過払い金 過去に消費者金融やクレジットカードなどを利用していて払い過ぎた利息を取り戻した「過払い金」が手元にある場合にも、その金額が財産と評価されます。未回収の過払い金請求権がある場合にも、回収見込み額が清算価値保障原則の計算対象となります。

住宅ローン特則を理解しよう

個人再生の最低弁済額を理解するとき「住宅ローン特則」との関係もしっかりと理解しておかなければなりません。住宅ローン特則を利用する場合、住宅ローンについては基本的に減額対象にせず、そのまま返済を継続します。減額されるのは、その他のカードローンなどの借金のみです。

個人再生の最低弁済額を計算するとき、住宅ローン特則を利用するかどうかで結果が大きく異なります。住宅ローン特則を利用する場合には、住宅ローンの金額は「負債総額」に含めずに計算します。たとえば住宅ローンが3000万円、その他の負債が1000万円の場合、「負債総額」は1000万円として計算されます。すると、借金は200万円にまで減額されて、住宅ローンの3000万円はそのままです。

一方、住宅ローン特則を利用しない場合には、住宅ローンの金額も「負債総額」に含めます。たとえば上記と同じケースの場合、「負債総額」は4000万円となりますので、最低弁済額は10分の1の400万円となります。ここには住宅ローンも含まれます。

これが「住宅を手放さなくても済む」根拠となります。つまり、住宅ローンを個人再生の債務額に含めないことで「住宅」に関する債務が維持され(=住宅ローンの支払いを継続することで)、自分名義の住宅を手放さなくても良い、ということになります。

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