独力で過払い金請求をする(4)~過払い金返還請求の訴状の書き方

過払い金請求

過払い金請求を自分で行う際は裁判に持ち込むケースもしばしばあります。専門家(弁護士、司法書士)に依頼しているのであれば、法律のプロたちですから、訴状を作成するのはお手の物です。

・・・というわけで今回は個人(自分)で「過払い金請求訴訟」を提起しようという方向けの記事です。作成のポイントをご紹介しましょう。

1.過払い金請求とは?(概要)

過払い金とは貸金業者に払いすぎた利息を指す用語です。本来の金利よりも多く払った分(=過払い金)については貸金業者から取り戻すことができます。

貸金業者の貸付の際に発生する上限金利は「利息制限法」という法律で定められており、借金の額に応じて15~20%となっています。また、「利息制限法」とは別の「出資法」という法律があり、この法律では2010年6月までは年29.2%を上限金利*としていました。

*現在では「出資法」の上限金利は「利息制限法」と同じに設定されています

そのため、2010年以前に法改正があるまで多くの貸金業者は、出資法の上限金利29.2%を理由に本来の金利よりも高い金利を取っていました。利息制限法の上限金利を超える利息を取ったとしても出資法の上限金利29.2%までであれば罰せられなかったからです。

この出資法と利息制限法の上限金利の差を「グレーゾーン金利」と呼び、このグレーゾーン金利で支払った分が過払い金です。また、貸金業者に払いすぎた過払い金を、取り返す手続きを「過払い金請求」といいます。

2.過払い金請求の訴状に必要な書類を把握しよう。

独自に過払い金請求の訴訟をする場合、必要な書類を揃える必要があります。(以下をご覧ください)

主に「訴状」と証拠となる「証書」*が数枚です。

*あなたの言い分を証明するために裁判所に提出する証拠のことです。訴えを起こす側が提出する証拠は「甲第1号証」、「甲第2号証」というように通し番号を採番します。なお、相手側が提出する証拠は「乙第1号証」、「乙第2号証」といいます

(1) 訴状 × 3通(正本は収入印紙が必要)

(2) 利息制限法に基づく法定金利計算書 × 3通

(3) 取引履歴書 × 3通

(4) 過払い金返還請求書 × 3通

(5) 商業登記簿・代表者事項証明 × 2通

 

訴状と証書(上記の(2)~(4))は3通ずつの提出が必要です。*

*内訳は裁判所に提出する正本、被告に渡す副本、原告の控えです

なお、訴状はネット上で裁判関連のサイトからダウンロードして使用するのが良いでしょう。(もちろん手書きでも大丈夫です)

書式としては原則として以下となります。

A4横書書面、1行37文字・1頁26行・左余白30㎜・上余白35㎜

【注意】

過払い金請求の訴訟をする前に対象の貸金業者に「過払い金請求」を行うことが必要です。言い換えるなら「一度も和解に至る交渉を行っていない状態では訴訟することはできない」ことになるわけです。また、訴訟せずに過払い金としてな得できる金額が貸金業者から返還されることもないことはないのですから、まずは「過払い金返還請求書」を内容証明郵便で送付することが先決です。

3.訴状の書き方

訴状は裁判所に訴えの提起を示すために必要となります。通常の訴状で記載すべきことは以下の通りです。

(1)訴えを提起した日付と管轄とな裁判所

〇〇地方(簡易)裁判所(〇〇支部)というように、正式名称で記載しなければいけません。

(2)原告・被告の住所

原告(訴える側=過払い金を請求する人)の住所と被告(訴えられる側=貸金業者)の住所を記載しますが、貸金業者の場合は本店所在地と代表取締役の氏名の記載が必要です。

(3)事件名

過払い金請求の場合は「不当利得返還請求事件」と記載します。

(4)訴訟物の価額・貼付印紙の金額

今回の訴えで被告に対して請求する金額と、それに対応する貼付印紙の金額を記載します。

(5)請求の趣旨・原因

①請求の趣旨

何を目的として訴訟を提起するのか、について書きます。最終的に被告に対して請求したい金額を書きます。(過払い金では以下のように書きます)

「1 被告は原告に対し、金**万****円*および内金**万円****円**に対する平成〇〇年〇〇月〇〇日から支払い済みまで、年5%の割合による金員を支払え。

2 訴訟に関する費用は被告の負担とする。

との判決及び仮執行宣言を求める。」

*過払い金元金と利息の合計金額が入ります

**過払い金元金が入ります

②請求の原因

請求の根拠となる原因を記載します。請求の原因は事情によっていくつかのパターンがありますが、貸金業者から通常どおり取引履歴が開示されているのであれば、

「〇〇年〇月〇日、原告と被告は金銭消費貸借契約」を締結し、原告は金〇円(最初に借り入れた金額)を借り入れ、その後、別紙(取引履歴を添付)記載のとおり〇〇年〇月〇日まで借入と返済を繰り返している。これを利息制限法1条1項所定の法的利息に照らしたところ、金〇〇円(過払い原本)が発生している。また、被告は貸金業者の登録業者であることから、過払い金の発生を知りながら返済を受けていたといえるため、悪意の受益者*であることから、5%の利息(過払い利息)を付した」と記載しておけば問題ありません。

*ここでいう「悪意」とは過払い金を知っていたこと

 

以下が例です。

「1 被告の表示

被告は全国に支店を持ち、消費者に対して小口の貸付を行う〇〇財務局登録の貸金業者である。

 

2 原被告との取引

原告は平成〇〇年〇〇月〇〇日から、被告との間で、消費貸借契約を締結し、甲第1号証のとおり平成〇〇年〇〇月〇〇日に至るまで、借入、弁済を繰り返した。

 

3 被告の不当利得

被告の原告に対する請求金額は、利息制限法の範囲を超過する無効な利息を元に計算されたものであり、超過利息の弁済については、元本に充当されるべきである。原告は被告と契約を行った平成〇〇年〇〇月〇〇日から平成〇〇年〇〇月〇〇日までの取引経過を、利息制限法所定の金利により再計算したところ、別紙計算書(甲第2号証)の通り、金**万****円の過払い金が発生している。これについては元本にないものを認知することなく支払ったものであるから、被告の不当利得である。

 

4 悪意の受益者

被告は貸金業者であるから、利息制限法による引き直し計算を行えば、過払いになることを当然承知しており、原告から弁済を受ける際、これを知りながら弁済を受けてきたものであるから、悪意の受益者として、受けたる利益に利息を付して返還する義務を負う。

 

5 よって、原告は被告に対して不当利得返還請求に基づく過払い金**万****円および内金**万****円に対する平成〇〇年〇〇月〇〇日までの法定利息である年5%の利息金の支払を求める。」

(6)証拠方法

請求の根拠となる証拠を説明するものです。添付する証拠書類の一覧を示します。過払い金請求の訴状では以下の通りとなります。

 

「証拠方法

1 甲第1号証 取引履歴(被告作成)

2 甲第2号証 利息制限法による計算書(原告作成)

3 甲第3号証 過払い金支払請求書」

 

(7)注意~訴状の正本には収入印紙が必要!

訴状提出の2通のうち、1通は裁判所用で正本、もう1通は被告(貸金業者)ようで副本となります。正本には収入印紙が必要です。

この収入印紙は「申立手数料」に相当しますが、購入代金は過払い金請求したい金額*によって変わってきます。

*「訴額」といいます

(例) 過払い金が50万円であれば、 5,000円

過払い金が100万円であれば、10,000円*

*詳しくは裁判所の「手数料早見表」の「提起の覧」を参照してください

・・・というわけで「過払い金請求の訴状の書き方」について整理しました。

もし、作成中に分からないことなどがあれば、やはり弁護士あるいは司法書士に相談するのが手っ取り早いのも事実ですので、相談だけでもしてみるのが良いでしょう。

 

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