自己破産の手続き

023_自己破産

破産手続き(はさんてつづき)とは、支払い不能に陥った債務者(借金をした本人)の財産の価値を見積もり、現金化して債権者(お金を貸した側)に債務の弁償または配当することで、破綻した生活を立て直すことを目的とした裁判手続きの事を言います。

一般的に破産手続きは個人や法人でも利用できますが、「債務者が支払不能であるか、債務者の負債が資産を超えている状態であること」という条件があります。この破産手続きが進むと、法人の場合は「倒産」、個人の場合は「自己破産」として呼ばれます。

では、順を追って自己破産の手続を見ていきましょう。

自己破産の手続き(準備)

具体的に破産申立てまでの流れとしてまず「準備」を見ていきましょう。

当然のことですが、裁判所へいきなり出向いて「自己破産をしたい」と言っても受け付けてくれません。事前にかなりの準備が必要となります。大体、(弁護士に依頼した場合)、以下のような準備を行っていきます。

ア.弁護士への相談・依頼
イ.債権者や財産等の調査
・債権の調査
・財産の調査
・過払い金の調査
・家計、その他の調査
ウ.破産申立書の作成
エ.裁判所への破産申立て

弁護士への相談・依頼

「弁護士への相談・依頼」ですが、「なぜ弁護士に依頼するのか?」と思われる方も多いでしょう。
自己破産についても自身で破産申立を行うことは可能です。
ただ、最初の段階では専門家である弁護士等へ自己破産の手続や制度のメリット・デメリットを含めて十分に相談しておくべきだと考えます。特に管財事件なのか同時廃止なのかだけでも手続きが異なりますので相談してみましょう。

債権者や財産等の調査

 債権の調査

破産手続は債務者(破産申立者)だけでなく、債権者のための手続でもあります。そのため「どのくらいの数の債権者がいて、各々どのくらいの債権があるのか」を調べなければなりません。
弁護士に依頼した場合、弁護士は依頼人である債務者から債権者名の連携を受けて「受任通知」を各債権者へ送付します。この「受任通知」には債権者に対して、債権額やどのような理由で生じた債権なのかについて開示するよう求める内容になっています。
この「受任通知」によって債権者から「どのような債権(借金)がいくら残っているか」という情報を入手することができます。そして申立てにあたっては「債権者一覧表」を作成することになります。

財産の調査

破産手続は債権者のために財産等を清算する手続でもあるわけですから、債権者のために清算すべき財産がどれくらいあるのか調査しなければなりません。この財産は「不動産」や「自動車」などの分かりやすいものだけでなく、全財産を余すことなく調べ、多くの資料を作成します。
「預貯金」や「財形貯蓄」ももちろんのこと財産ですから「預金通帳は申立てまでの2年分を記帳し、用意しておく」必要があります。
また、「退職金」も財産として扱われるため、どれくらいが支払われるか(支払われる計算となるのか)を勤務先に問い合わせて計算書または証明書を作成してもらう必要があります。
他にも「生命保険の解約返戻金」も財産の対象として扱われますので、解約返戻金がある生命保険は、その計算書、保険証券を用意しなければなりません。
上述のように個々の財産について必要となる資料が異なりますから、財産対象になるか否かも含めて、適宜、弁護士に相談し、指示を受けるようにしましょう。
また財産についても「財産目録」を作成することになります。

過払い金の調査

財産は「不動産」「自動車」だけでなく、「預貯金」「退職金」「生命保険の解約返戻金」等を含むと書きましたが、もう一つ見落としがちですが、見えない財産として「過払い金」が挙げられます。
「過払い金」は消費者金融やクレジット会社等の貸金業者から、お金を借りていた人が、本来支払わなければいけない利率以上で利息を払っていた場合に、貸金業者から取り戻すことができるお金のことを指します。
弁護士や司法書士に相談した時点で「現金」として存在していなかったとしても、本来は債務者(破産申立者)の手元に戻ってくるべきお金なので、これも財産として扱われることになります。
そして過払い金が財産として、どれくらいの額になるのかを確定するために、破産手続の前に取り戻すための手続を取ることも多いようです。

その他の財産

その他、財産として扱われる例を挙げておきましょう。

・不動産や自動車
・預貯金(申立てまでの2年分を記帳する)
・退職金(勤務先から計算書・証明書を作成してもらう)
・生命保険の解約返戻金(計算書や保険証書を用意しておく)
・過払い金   など

思い当たるものがあれば、弁護士に相談するようにしましょう。

家計・その他

家計の状況についても、資料としてまとめる必要があります。いわゆる「家計簿」をつける必要があり、収入と支出の流れを明らかにしなければいけません。
なぜ、家計の状況を明らかにするかというと、免責不許可事由に相当するものがないかを確認する必要があるからです。(=免責不許可事由として「浪費」や「所得隠し」等がないことを確認する必要がある)
その他、申立てに必要なものとして「住民票」、そして破産に至った経緯を自身でまとめた「陳述書」、または自身の代わりに弁護士が作成する「報告書」があります。
借入や財産の状況に応じて必要書類が変わりますから、弁護士に相談して進めるほうが良いでしょう。
なお、破産申し立ての目的(なぜ申立てをするのか)は、第一に何と言っても、債務をなくす「免責許可決定」を得ることにあります。
準備段階で「免責不許可事由」がないことを確認するのも、そのためということです。

破産申立書の作成

準備の最後は「破産申立書」を作成することになります。
書式自体は裁判所のホームページから入手できます。独力で申立てをするのであれば、こちらを利用してください。(こちらからどうぞ)
弁護士が申立てを行う場合は弁護士が作成します。
以上の準備が的確にできているか否かが「同時廃止になるのか」「管財事件になるのか」「少額管財を利用できるのか」などについて見通しを立てられるかどうかに繋がりますので、要注意です。

提出書類のまとめ

上述に準備作業をまとめると以下の提出書類がさくせいできます。

同時廃止の手続き

いよいよ具体的な手続きのお話に入ります。まずは「同時廃止の手続」です。

破産手続きの開始(①申立て)

まずは裁判所に「破産をしたい」という申立てを行わなければなりません。前章でお話した「破産申立書」や準備した各書類を裁判所に提出することになります。
この際に同時廃止では以下の通り、二つの申立てをします。

破産手続きの申立て

これは債権者のために財産等を清算する手続き(破産手続)の開始を求めるものです。

免責許可の申立て

これは債務者のために債務(借金)をなくす手続き(免責手続)の開始を求めるものです。

破産手続きの開始(②破産手続開始決定)

破産手続き開始の申立てに対して裁判所は破産手続を開始する決定をします。
この決定は裁判所が破産申立書を呼んだり、破産に至った経緯を把握したうえで行われます。
そのために自身単独で申立てを行う場合は、ケースによっては裁判官からの質問に答える必要がありますので、注意しましょう。(この質問を「審尋」といいます)
もし弁護士が代理人として申立てをする場合には「審尋」そのものがなかったり、破産申立書提出時に代理人が裁判官と面接して質問を受けることになります。
これらの手続きに関する進め方は裁判所によって変わりますし、あるいは代理人弁護士による申立てかどうかでも変わってきますので、注意を要します。
この段階で「同時廃止」にするか「管財事件」にするかが決定します。

破産手続きの終了(③)

①②で破産手続きの開始について書きましたが、同時廃止の場合は債権者に清算すべき財産がないので破産手続きを行う必要がありません。そのため、破産手続の開始決定と「同時」に破産手続の廃止が決定されます。(だから「同時廃止決定」となります)
ここで言う「破産手続の廃止」とは「破産手続を終了させること」という意味となります。
この時点で「破産手続」は終了となります。

免責手続き(④)

以上で「破産手続」が終了しましたが、この時点では「免責許可の申立てに対する手続き」はまだ終了していません。次に、この手続きを進めなければなりません。

免責審尋

債務者の債務をなくす「免責」という決定を下すために、裁判所が債権者の意見や債務者の事情を聴取します。この債務者から事情を聴く手続きを「免責審尋」といいます。この「免責審尋」は代理人(弁護士)による申立であっても、債務者が裁判所に出頭して、裁判官から直接質問を受けることが多いと言われています。
ただ、事情を詳細に聞かれる(尋問される)ことはなく、破産申立書に間違いがないかどうかの確認にとどまり、時間にすると数分程度で終了する場合が多いようです。
しかしながら「免責審尋」は裁判所が免責の可否を判断する手続ですので(同行することもを含めて)、弁護士と相談するほうが良いでしょう。

免責許可決定(または免責許可不決定)

債権者の意見や免責審尋の結果を受けて、裁判所は免責を許可するか否かを決定します。免責許可が決定し、確定すれば債務(借金)の支払いが免除されることになります。

債務者自身が参加する手続き(⑤)

①から④まで同時廃止の手続きを見てきましたが、これらの手続きの中で債務者が必ず参加しなければならない手続きが二つあります。
一つは「破産申立時の審尋」もう一つは「免責審尋」です。
ただ、弁護士に依頼して代理人を立てる場合は破産申立時の審尋は行われないのが通常ですので、実際には「免責審尋」だけが参加しなければいけない手続となります。
上述の通り「免責審尋」も実際のところ、数分程度で終了しますので、管財事件に比べれば負担は小さいと言えます。

管財事件の手続き

この章では「管財事件」の手続きを解説します。順番に見ていきましょう。

破産手続の開始

 申立て

管財事件も同時廃止と同様に①破産手続開始の申立てと②免責許可の申立てを行います。

 破産手続開始決定

 

破産手続開始の申立に対して裁判所は破産手続を開始する決定を下します。そして「管財事件」とされた場合には「破産管財人」が選任されます。
同時廃止とは異なり、「管財事件」の場合には選ばれた「破産管財人」の主導のもと、破産手続は継続して行われることになります。

破産手続きの実際

 破産手続きでは「破産管財人」による破産者の財産の調査や管理、免責不許可事由の有無の確認が行われます。破産者に財産があれば、これを債権者に分け与える(=配当)ために換金しなければなりません。

このような破産管財人の業務遂行のために破産者に対する一定の制限(郵便物等の転送や住居の制限など)が課せられますので注意しなければなりません。

 

破産管財人との打合せ

まず破産手続にあたって破産管財人との打合せの場が設けられます。

この打合せは破産管財人となった弁護士の事務所等で行われ、破産に至った経緯や財産に関する事情について説明を求められる場合もあれば、追加で必要な書類・資料の提出を求められることもあります。

また、破産管財人は破産者に免責不許可事由の有無についても調査しますから、この打合せは破産手続だけではなく免責手続に関しての打合せを兼ねていると考えて良いでしょう。

債権者集会

破産手続の最終局面では裁判所で開催される「債権者集会」に出席しなければなりません。

債権者集会は、まず破産管財人が裁判所や債権者に対し、管財業務の結果を報告・説明するのが中心であり、債権者への配当の有無などが報告されることになります。

ここまで読んで「えっ!?債権者(金融業者)たちと顔を合わせなければいけないの?針のムシロじゃん」とビビるかたもいらっしゃるかもしれませんね。

実際のところは債権者である貸金業者等が参加することは多くはありません。ただし債権者の中に個人が含まれる場合には、個人債権者が出席して、意見を述べるケースもあるようです。

また、多くの場合、債権者集会は一度で終了しますが、財産の処分中であるケース(債務者が住宅を所有していて売却中や過払い金の請求中という場合)では、複数回の開催も設定されることがあります。

破産手続きの終了

債権者集会での破産管財人の報告・説明、債権者の意見などを経て、裁判所は破産手続を終了する決定を行います。この決定では配当があって破産手続が終了する場合は「破産手続き終結決定」、配当すべき財産がない場合には「破産手続廃止決定」と呼びます。

免責手続き

管財事件も同時廃止と同様に免責手続が破産手続と並行して行われます。

免責審尋

破産管財人との打合せで免責不許可事由の有無について調査されますが、この結果も踏まえて、債権者集会の開催中に破産管財人が免責についての意見も述べて、免責審尋も併せて行われることになります。(⇒ 免責審尋の日が別途設定されるわけではありません)

免責許可決定(または不許可決定)

同時廃止と同様に裁判所から免責決定が出されます。

債務者が参加する手続きとは

 債務者が参加しなければいけない手続は以下の通りです。
  1. 「破産申立時の審尋」
  2. 「破産管財人との打合せ」
  3. 「債権者集会」

2、3については同時廃止の場合とは異なり、複数回になることが考えられます。

また、破産管財人との打合せや債権者集会は(同時廃止と異なり、財産がある、あるいは財産があるかもしれないだけに)、時間がかかり、負担が大きくなることがあります。

 

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