自己破産ができないケース

023_自己破産

自己破産をすると基本的に借金は全額免除されます(=借金をチャラにできます)が、場合によっては免責が認められないこともあります。

自己破産を検討する方の多くは、一刻も早く借金から解放されたいと思いますが、このような失敗をしないためにはどうすればいいのでしょうか。

本稿では、以下についてまとめました。

  1. 自己破産が失敗する原因
  2. 自己破産に失敗しない方法
  3. 失敗した場合の対処方法

順を追って見ていきましょう。

  1. 自己破産が失敗する原因
    1. 自己破産のデメリットを理解していなかった場合
    2. 裁判所から支払不能と認められなかった場合
      1. 支払不能と見なされる例
        1. 借金360万円、月収20万円
        2. 借金150万円、生活保護の受給者
      2. 支払不能と見なされない例
        1. 借金108万円、月収30万円
        2. 借金360万円、月収100万円
    3. 予納金が納められなかった場合
    4. 免責不許可事由に該当する場合
      1. 借金の原因が浪費・ギャンブル・投資の場合(免責不許可事由①)
      2. 意図的に財産を隠した場合(免責不許可事由②)
      3. 換金行為した場合(免責不許可事由③)
      4. 手続きから1年以内に詐欺的な借入を行った場合(免責不許可事由④)
      5. 特定の債権者にだけ返済した場合(免責不許可事由⑤)
      6. 過去7年以内に自己破産をしていた場合(免責不許可事由⑥)
      7. 裁判所へ嘘の供述をした場合(免責不許可事由⑦)
  2. 自己破産に失敗しない方法
    1. 自己破産の対象に合致するか確認する
    2. 裁判所へ相談する(申立費用が足りない場合)
    3. 住宅を売却して費用を工面する(住宅所有者の場合)
    4. 裁判所へ反省の態度を示す(免責不許可事由に該当する場合)
    5. 手続きに不安のある方は弁護士へ依頼する
  3. 自己破産が失敗した場合の対処方法
    1. 即時抗告をする
    2. 他の債務整理方法を選択する
    3. 個人再生を選択する
    4. 任意整理を選択する

自己破産が失敗する原因

まず、自己破産が失敗に終わるケースを見ていきましょう。

自己破産のデメリットを理解していなかった場合

自己破産をすると借金が免除される一方で、以下のデメリットが発生します。

  • 手続きの間、弁護士、司法書士、警備員、会計士などの職に就けない
  • 自己破産後、5年~10年はクレジットカードやキャッシングサービスの利用が難しくなる
  • 手持ちの家を没収される
  • 保証人へ借金の返済義務が発生する

当たり前の話ではありますが、このデメリットを十分に理解していない状態で、手続きをしたために後悔するようなことがあったら、本末転倒ですね。自己破産をするデメリットについて事前に把握しておきましょう。(詳しくはこちら

裁判所から支払不能と認められなかった場合

自己破産は、裁判所から『支払不能』と見なされなければ手続きが開始されません。

破産法によると、支払不能を『支払期限の過ぎた借金を、一般的かつ継続的に弁済できない状態』と定義しています。明確な基準はないですが、以下の2点を満たす場合に支払不能と見なされる可能性が高くなります。

  • 借金の支払期限が過ぎている
  • 利息免除しても3年以内で完済できない

支払不能と見なされる例

では、「支払不能」に該当するものはどんなものか例を挙げてみましょう。

借金360万円、月収20万円

毎月、10万円(=360万円÷36ヶ月)と月収の半分を返済に充てることは現実的ではないため、支払不能と見なされる可能性が高い

借金150万円、生活保護の受給者

生活保護者が受ける保護費を借金の返済に充てることは認められていないため、支払不能と見なされる可能性が高い

支払不能と見なされない例

では、「支払不能」に該当しない(=申立内容によれば返済可能である、と裁判所が判断する)ものは、どんなものか例を挙げてみましょう。

借金108万円、月収30万円

月3万円ずつ返済すれば3年(3万円×36ヶ月=108万円)で完済できる。

借金360万円、月収100万円

月10万円ずつ返済すれば3年(10万円×36ヶ月=360万円)で完済できる

予納金が納められなかった場合

自己破産をするためには、裁判所に予納金(1万円~50万円)を納める必要があります。この予納金が用意できないと手続きは開始できません。

免責不許可事由に該当する場合

借金の免除が認められない事由(これを「免責不許可事由」と言います)の代表的な例として以下が挙げられますが、これらに該当すると免責されません。

  • 浪費・ギャンブル・投資が理由で借金をした
  • 意図的に財産を隠ぺいした
  • 換金行為をした
  • 申立から1年以内に詐欺的な借入を行っていた
  • 特定の債権者にだけ返済した
  • 過去7年以内に自己破産をしていた
  • 裁判所へ嘘の供述をした

 

では、免責不許可事由を具体的に見ていきましょう。

借金の原因が浪費・ギャンブル・投資の場合(免責不許可事由①)

借金を作った原因が、浪費やギャンブル、投資だった場合、免責不許可事由があると評価され、借金が免除されない可能性があります。

しかし、免責不許可事由に該当する場合でも、裁判所は裁量で免責許可を出せるので、必ずしも免責されないということではありません。

意図的に財産を隠した場合(免責不許可事由②)

自己破産をすると、不動産や車など換金価値(20万円超)のある所有財産は換価処分されます。(=いわゆる「差し押さえ」です)

そのため、不動産や車など高価な財産の名義人の変更を検討される方もいると思いますが、財産の隠ぺいは、免責不許可事由に該当します。

換金行為した場合(免責不許可事由③)

自己破産で借金が免除されるのをいいことに、クレジットカードで購入した商品を現金に換える行為も、免責不許可事由に該当します。

手続きから1年以内に詐欺的な借入を行った場合(免責不許可事由④)

自己破産から1年以内に、身分証や信用情報(収入・借入額・延滞履歴など)を偽って、お金を借りた場合、免責不許可事由に該当します。

特定の債権者にだけ返済した場合(免責不許可事由⑤)

自己破産は、すべての債権者の借金が免除の対象に含まれるます。例えば親戚や友人・知人からの借金として、保証人付きの場合はこれだけを先に完済したいと考える方もいるでしょう。

しかし、特定の債権者にだけ返済(これを偏頗弁済(へんぱべんさい)と言います)すると、別の債権者に対して不平等が生じるため、免責不許可事由に該当します。

過去7年以内に自己破産をしていた場合(免責不許可事由⑥)

過去7年以内に自己破産により免責が許可された場合も、免責不許可事由に該当します。

裁判所へ嘘の供述をした場合(免責不許可事由⑦)

自己破産をすると、裁判所は申立人の所有財産の内容や借金を作った原因を調査します。その際に、裁判所側から不明点、疑問点について質問されると思いますが、協力的に回答しない、または嘘の供述をすると、免責不許可事由があると評価される可能性があります。

自己破産に失敗しない方法

続いて続いて自己破産が失敗しないために必要なことを説明します。

自己破産の対象に合致するか確認する

まず、自身が自己破産の対象に適しているかどうかを確認しましょう。

自己破産の対象に合致している人と合致していない人の特徴については、以下の通りとなります。

自己破産の対象に合致している人 自己破産の対象に合致していない人
  • 利息免除しても借金が3年以内で完済できない
  • 自身が名義人の持ち家がない
  • 保証人付きの借金がない(または保証人と自己破産について話がついている)
  • 利息免除すれば3年以内で完済できる
  • 免責が認められない可能性がある
  • 保証人へ迷惑をかけたくない
  • 住宅を所有したい

自己破産の対象に合致していない場合は、他の整理方法(個人再生や任意整理など)で借金を整理することをおすすめします。

また、自身に適した方法がわからない場合は、弁護士へ相談しましょう。借金や収入の状況などの詳細を伝えると、相談主に適した借金問題の解決方法を提示してもらえます。

裁判所へ相談する(申立費用が足りない場合)

前章に書きましたが、予納金を納められないと自己破産の手続きはできません。

もし予納金が用意できない場合は、裁判所によって分割支払いに応じているので、まずは申立先の裁判所の受付窓口へ相談することをおすすめします。(分割に応じてもらえない場合は、予納金が用意できるまで裁判所費用を貯金しましょう)

住宅を売却して費用を工面する(住宅所有者の場合)

自己破産前は、財産の売却特定の債権者への返済(偏頗弁済)は禁止されていますが、裁判所費用または弁護士費用のために、持ち家を売却することは認められています。(売却価格と住宅ローンの差額分を費用に充てることになります)

裁判所費用が用意できないけど持ち家のある方は、持ち家の売却を検討しましょう。

裁判所へ反省の態度を示す(免責不許可事由に該当する場合)

免責不許可事由に該当する場合でも、裁判所は免責を許可する裁量が与えられているので、反省の態度を示すことで免責が許可される場合もあります。免責不許可事由に該当する方は、自身の落ち度によりお金を返せず債権者へ迷惑をかけた事実を認めた上で、堅実な生活を送るための具体的プランを裁判所に示すことを検討しましょう。

手続きに不安のある方は弁護士へ依頼する

手続きが失敗することを懸念する方は、債務整理の得意な弁護士へ依頼することをおすすめします。手続きに不備が無くなる上に、裁判所における手続きを代理で行ってくれるので、手続きにおける負担がなくなります。

また、弁護士費用が用意できない場合は、法テラスにて民事法律扶助制度の利用を検討しましょう。一定水準以下の所得の方に限り、制度を介して弁護士費用を立て替えることができます。

自己破産が失敗した場合の対処方法

最後に自己破産の手続きが失敗したときの対処方法の説明になります。

即時抗告をする

裁判所から免責が認められなかった場合には、期限内(免責不許可の通知から1週間以内)に、自己破産をした裁判所へ即時抗告をすることができます。抗告審で破産者の主張が認められれば、免責不許可の決定は覆り、免責が認められるかもしれません。

即時抗告の申立書に記載する内容は以下の通りになります。

内容の例
原決定の表示 免責不許可
抗告の趣旨 原決定の取り消し、抗告人の免責
抗告理由
  • 免責不許可事由が存在しない
  • 存在するが十分に反省している免責が妥当である など

なお、即時抗告は個人で行うことは難しいため、弁護士へ依頼することが一般的ですので、行う場合は弁護士に相談しましょう。

他の債務整理方法を選択する

即時抗告により免責が認められるケースは一握りです。そのため即時抗告が認められなかった場合は、別の方法を介して借金を整理する必要があります。

個人再生を選択する

利息免除しても借金が3年以内で完済できない場合は、個人再生をおすすめします。借金を作った理由が問われない上に、持ち家を残したまま最大9割の借金を減額することが可能です。

個人再生を検討すべき人の特徴は以下の通りです。

  • 利息免除しても借金が3年以内で完済できない
  • 持ち家を残したい
  • ギャンブルや浪費が借金の理由である
  • 自己破産による制限される職に就いている

 

なお、個人再生に関する詳しい内容はこちらをどうぞ。

任意整理を選択する

利息免除すれば3年以内で借金を完済できる方は、任意整理を検討しましょう。個人再生や自己破産のように元本を減らすことはできませんが、利息免除されるため、返済総額を安く抑えることができます。

また、自己破産や個人再生はすべての債権者の借金が対象に含まれますが、任意整理は、対象の債権者を選択できるので、保証人付きの借金を対象から外すことで、保証人へ迷惑をかけずに済みます。

任意整理を検討すべき人の特徴は以下の通りです。

  • 利息免除すれば3年以内で完済できる
  • 保証人へ迷惑をかけたくない
  • 借金に過払い金が含まれている

なお、任意整理に関する詳しい内容はこちらをどうぞ。

 

おすすめの弁護士事務所はこちら

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