本稿では自己破産の申立書類の中でも特に重要な「陳述書」の作成ポイントについて説明します。
「陳述書」は故意に虚偽の記載をすると、自己破産が認められないこともありますので、注意が必要です。では、順を追って見ていきましょう。
陳述書の役割
「陳述書」は、裁判所が破産開始決定を判断するために参照する書類のことです。すなわち、申立人の生活状況を詳細に把握し、申立人が支払不能の状況にあるかどうかを判断するための材料として必要な書類ということです。
「陳述書」の役割という点について考えれば、①破産申立てに至った事情 を記載することは不可欠だと言えます。
また、多くの地方裁判所では、②経歴 ③家族構成 ④現在の住居の状況 の記載が求められています。
具体的な記載事項
破産申立てに至った事情
具体的には以下のような事項を記載する必要があります。
いつ、誰から、いくら、何のために借りたか
破産手続きが終了すれば、申立人は債務から解放されることになりますが、債権者からすれば、貸したお金が全く回収できないか、返ってきても「ほんのわずかな金額」であるという状況に置かれてしまいます。
このように自己破産は債権者に重大な影響を及ぼすため、「いつ、どのような金融業者から、いくら借りたか、その借金はどのような理由で生じたのか、実際の使い道はなんだったのか」という点を踏まえて裁判所は破産の申立てを認めるかどうかを判断します。
したがって、これらについては「時系列」にそって可能な限り、「具体的」かつ「正確」に記載しましょう。「故意に虚偽の記載をすると、それを理由に自己破産が認められないこともあり得る」ので、絶対に「嘘の記載」はしないようにしましょう。厳禁です。
借金を支払うことができなくなった事情
はじめから「踏み倒す」つもりでお金を借りる人はほとんどいないし、何らかに事情で返したくても返せなくなってしまったという方ばかりだと思います。
自己破産にあたっても、「なぜ、返せなくなったのか」「返せなくなってしまったのは、いつなのか」という事情が重視されますので、例えば病気が理由で一年前に退職を余儀なくされ、収入が途絶えた後、退職金や貯金を使い果たしてしまったため、などの具体的かつ詳細にわたって記載することが求められます。
債権者との関係
場合によっては、支払えなくなってしまった借金の支払い方法について「債権者と話し合ったり(交渉したり)」、「訴訟を起こされた」、「差し押さえをされている」などと言うこともあると思います。そのような事情があるのであれば、これも具体的に記載します。
これまでの生活状況等
破産法上では、「浪費」や「ギャンブル」等の免責不許可事由がある場合には、基本的に免責が認められないことになっています。これら免責不許可事由に該当するかもしれない、という点で生活の実態や具体的な状況についての記載が求められます。
自分にとって不都合な事実だからと言って、隠すことはせずに正直に記載しましょう。
経歴
申立ての10年前から現在に至るまでの経歴を記載します。就職している場合は、勤務先の会社名、雇用形態など現在に至るまで正確に記載します。なお、「10年前」というのは一応の目安であり、自己破産につながる事情の説明に必要、ということであれば、さらにさかのぼって記載すべき、となります。
また余談ですが、知人の弁護士が言うところでは、この「経歴」を書くのが難しい、とのことです。要は「他人様の人生を書く」というのが大変だ、ということらしいです。
家族構成
裁判所が申立人の生活状況、収入状況を把握するためには、その家族構成を把握する必要があるため、記載を求められます。具体的に生活を共にする家族について、「氏名」、「年齢」、「申立人から見た続柄」、「職業」、同居の有無」も記載します。
現在の住居の状況
この点も裁判所が申立人の生活状況を把握するために求められる事項です。
賃貸物件なのか持ち家なのか、賃貸であれば誰が借りているのか、民間賃貸なのか、公営賃貸なのか、持ち家であるならだれの所有(名義)なのか・・・等、家計の状況や資産状況を明らかにするために必要な事項として黄さが求められます。
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