債務整理とは

明確な基準があるわけではありませんが、弁護士事務所のHP等に記載されているところによると一般的なサラリーマンの場合、総額200万円、毎月の返済額が10万円を超えていると債務整理を検討すべき状況とのことです。

債務整理の具体的な手続きなどの説明に入る前に、そもそも「債務整理」とは何かについて解説していきましょう。

1.債務整理の定義

 

債務整理(さいむせいり)とは、その名のとおり「債務(借金)」を「整理」することです。

 

「債務」とは借金のことです。

 

身近なところでは「住宅ローン」を思い浮かべる方もいらっしゃるでしょう。またはマイカー購入時の「自動車ローン」をイメージされた方もいらっしゃるかもしれません。

ただし、借金は銀行ローン、カードローン、キャッシング、消費者金融・・・等だけではありません。実はリボ払い購入の高額商品・ローンを組んで買った自動車や家電製品等の残債も含まれます。

消費者金融やクレジットカードを使って、キャッシングや買物利用、銀行のカードローンを使ってお金を借りたなどは全て借金に含まれます。

 

次に「整理」ですが、こちらは、支払いが難しくなってしまった債務の支払いを、司法書士や弁護士が支払いのしやすい環境に変える(支払いができない場合には破産)ことを指します。

 

2.債務整理の種類

 

債務整理には任意整理・個人再生・自己破産などがあります。

この順番は債務整理を選択する際のデメリットの小さな順番でもありますので、債務整理をご検討される場合は、この順番で検討されると良いでしょう。

 

(1)任意整理

 

今後の金利がなくなり,借金の総額と毎月の返済額を減額でき,一部の借金だけ選んで整理することが可能です。場合によっては過払い金が発生し既に支払ったお金が手元に戻ることもあります。

 

(2)個人再生

 

現在の借金が返済困難であることを裁判所に認めてもらい,減額された借金を3年かけて分割で返済していく手続です。おおよそ5分の1から10分の1まで減額されます。(住宅ローンは除かれます)

 

(3)自己破産

 

自己破産に対し「人生の終わり」のように非常にマイナスのイメージを多く持つ方もいると思いますが,そうではありません。前途ある人生を前向きに生きていただくため,借金超過で苦しんでいる人を救済するために国が作った制度です
戸籍に残ったり,会社(就職)に影響があるわけではありませんし家族が保証人でない限り家族にも影響が出るわけではありません。
高価な財産を手放すことになりますが,今後の収入は生活費に充てることができます。

 

3.債務整理が認められる法的根拠

 

「私にも債務整理が本当にできるのだろうか?」

「利息がカットされる」

「借金の支払いが大幅に減少される」

 

・・・と言われても、「借金返済のプレッシャーから脱出し、人生をリセットできる」「そんなにうまい話がなぜ認められているの」などと心配になるのも当然です。

 

もちろん債務整理をすることはできます。

 

ただ、当然に認められるわけではなく、あくまで法的な手続きとして行っていくものです。そのため、司法書士(法務大臣認定)や弁護士の資格を持っている人間のみが行うことができるものです。

 

2の債務整理の種類ごとに、その根拠を見ていきましょう。

 

 

(1)任意整理~民法の契約自由の原則

任意整理は裁判所を使わない簡易な債務整理ですが、その法的根拠は民法の「契約自由の原則」に則ったものです。

例えばカードローンの債務(借金)について考えると、この「契約自由の原則」に基づき、現在のカード払いの契約を解除して、新しく任意整理契約を結んでいきます。

 

カードでお金を借りたり、買物をする(決済する)といった内容は一種の「契約」に該当します。カードを利用されている方は、この契約に従って借入れやショッピングの利用、そしてその支払い(清算)を行っているわけです。

 

そして、契約には「解除権」というものが附帯しており、契約の解除は当事者双方からいつでも行うことができることになっています。

 

なお、契約には「解除権」が附帯されているのと同時に「原状回復義務」というものがあります。これは「損害が発生する場合にはその損害を賠償しなければならないというものであり、契約をしていなかったときと同様の状態に戻す必要がある」というものです。

 

また、民法では「契約自由の原則」というものが認められています。

これは契約当事者は、基本的にその契約内容や契約するかどうかを両当事者で自由に決められる、というものです。

 

この契約解除権+契約自由の原則を合わせたものが任意整理の考え方となります。

つまり、任意整理では、「契約解除権」に基づいて、いったん現在の契約内容を解除し(クレジットカード申し込み時の支払い方法を解除し)、契約自由の原則に従い、カード会社の了解を得て新たな支払いの契約を結んでいくことになります。

 

もちろん、契約自由の原則に従えば、カード会社の了解を得られないと任意整理契約はできないことになります。

ただし、実際にはカード会社の中で任意整理契約を拒絶するところはほぼありません。(クレジット会社・銀行では100%了承を得られ、消費者金融では一部の街金が拒絶する程度です)

 

しかし、注意する点として任意整理はあくまで一種の自由契約であるため、司法書士や弁護士の一方的要求によって契約内容を決めることはできません。(裁判所を通さない「私的交渉」の結果として任意整理契約を結ぶことになります)

 

カード会社の意向も踏まえた上で、任意整理契約の内容を定めていくことになりますが、一般的に利息や手数料をカットすることやリボ払いの設定を白紙にすることにカード会社が否定するようなことはまずありません。

 

「でも、カード会社が損害賠償請求することはないの?」

 

このように疑問を持つ方もいらっしゃると思いますが、契約解除権を行使して任意整理契約を結んでも、損害賠償請求をされることもありません。

 

なぜなら、損害賠償請求をしてしまうと、任意整理はそもそも成り立たなくなってしまうことや、債務整理の中でも任意整理はカード会社にとっても一番不利益の少ない債務整理であるためです。(ここが任意整理が成立する大きな要素です)

 

個人再生では大幅に借金は減額され、自己破産では借金はゼロになってしまうので、カード会社からすると、支払いが難しくなった場合に任意整理を選択してもらえるのは「最悪な状態ではなかった(自己破産や個人再生を選択されるよりはずっとマシだ)という考え」になるわけです。

 

(2)個人再生~民事再生法が根拠

 

個人再生は民事再生法という法律が根拠となります。

元々、民事再生という手続きは法人向けのものであり、「破産することな く、なんとか再生したい」という法人に向けて向け適用されていました。

 

しかし、民事再生は法人を対象としている手続きのため、個人が行うには、手続きが複雑であり、ハードルが高かったものでした。

そこで、民事再生法の中で特に個人向けの再生手続きとして、個人再生法が、民事再生法第13章で構成されることになりました。

 

個人再生法第一条には、「この法律は、経済的に窮地にある債務者について、その債権者の同意を得、かつ、裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により…」と規定されています。

 

つまり、経済的に窮地に陥っている(借金返済で生活費がほとんど残らない、給料のほとんどが返済に消えている)などの事情があって、個人再生をすることで生活の改善が図れるという再生計画を提出して、裁判所にお墨付きをもらえれば個人再生は認められるというわけです。

 

(3)自己破産~破産法が根拠

 

任意整理や個人再生と比べると自己破産は歴史の深い整理方法で、一度はお聞きになったことがあると思いますが、この自己破産は破産手続きは破産法を根拠に認められています。

 

破産法では「破産手続開始の原因」を以下のように定めています。

 

第15条

1.債務者が支払い不能にあるときは、裁判所は第30条の第1項の規定に基 づき、申立てにより、決定で、破産手続きを開始する。

2.債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する。

 

この破産法15条により、「支払不能(=支払いができない人)」は裁判所に申立てを行うことで破産手続きを利用できることになります。

 

ただ、注意すべき点として、「裁判所に申立てをすれば誰でも破産が認められるわけではない」ことが挙げられます。

あくまでも「支払不能」であり、裁判所に申立てを行って「破産を認めるべきである」という裁判官の判断があって、初めて自己破産は認められるわけです。

 

破産が認められるかそうでないかは、「支払不能」が条件になりますので、 申立ても審議の結果、「自己破産が認められない(=免責されない)」場合もあります。

 

・・・以上が「債務整理」の概略説明となります。

 

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