任意整理とは、裁判所を通さずに弁護士や司法書士に依頼して行う簡易的な債務整理方法です。(弁護士などに依頼せずに個人で行うことが出来ないわけではありませんが、素人が行うよりも交渉のプロである専門家に依頼するほうが無難です)任意整理では借金減額の効果がありますから、自分自身で継続して支払うよりも、大きな差が生まれてきます。
任意整理が適した借金の種類
世の中には様々な借金の種類がありますよね。真っ先に頭に浮かぶのは各種ローン、例えば「住宅ローン」や「自動車(マイカー)ローン」、お子さんがいらっしゃる家庭では「教育ローン」なんていうのもあります。
では、借金の減額を行おうとしたときに、どんな種類の借金が任意整理に適しているのでしょうか?
それは「キャッシング(カードローン)の利息や買い物の分割支払い(=リボ払い)の手数料をゼロにできる」という点が該当します。総額で支払う金額が減れば、毎月支払っている金額も減りますから、借金減額以外にも毎月の返済額も任意整理する前よりも楽になっていくというわけです。
また、当然のことですが「過払い金」が発生していた場合には元金自体が減るケースもあります。
キャッシングの利息が全部ゼロにできる
消費者金融やカード会社からお金を借りることを「キャッシング」と言いますよね。キャッシングには利率が決められて、お金が貸し出されています。例えば「1万円借りたら、年率18%で返済する」など、借りたお金に対して支払う利子(利息)が発生します。
任意整理ではこの利子(利息)の支払いをカットできます。キャッシングの支払い方法には以下の二つがあります。
- キャッシングリボ払い:定額で分割支払いする方法
- キャッシング一括払い:借金+利息を一括で支払う方法
任意整理ではこの2つの方法のどちらであっても、キャッシング利息をカットすることができます。
利息の支払いをカットするということは、文字通り「利息の支払いをしなくてもいい」とうことです。任意整理では、このようなキャッシング利息の負担をなくすことが出来るのです。
ショッピング手数料も全部ゼロにできる
任意整理ではキャッシングの利息だけでなく、ショッピング手数料も全てなくなります。
現金を借りるのではなく、商品を購入する際に「お買い物」での利用ということでクレジットカードを使用する場合がありますよね。このクレジットカードを利用した決済を「ショッピング」と呼びます。(文字通り、買い物を意味しています)
ショッピングの支払い(=カードでの支払い回数です)には「1回払い」「2回払い」「ボーナス一括払い」「分割払い」「リボ払い」などの様々な支払方法があります。このうち、「分割払い」や「リボ払い」には「ショッピング手数料」が発生します。一般的には買い物の金額に年利換算で15%程度の手数料が加算されています。こうしてみると手数料も一種の「利息」ですね。
任意整理では、このショッピング手数料もカットの対象となります。つまり、任意整理を行うとショッピング手数料の支払いもなくなるというわけです。
任意整理で支払いはどの程度、変わるのか?
2社から借りているAさんの例で支払いがどの程度、減額されたか見てみましょう。
Aさんは買い物好きでCカードを利用して買い物三昧の毎日でした。気がつくとCカードのショッピング残高は50万円になっていました。Aさんは月収が手取りで20万円のOLです。買い物をし過ぎてしまった月にはCカードの支払いができず、B消費者金融からお金を借りてCカードへの返済に充てる始末。こちらも気がつくと借入総額は120万円(利率15%)に膨らんでいました・・・。
手取り20万円の月収では、一人暮らしのAさんにとって家賃の支払いもあるので借金返済に回せるお金は3万円が限界です。当然、CカードにもD消費者金融にも3万円では返済が足りず、困ったAさんはX法律事務所のX弁護士に相談しました。
【Aさんの借入状況】
Cカード | 借入残高:50万円 |
D消費者金融 | 借入残高:120万円 |
債務総額:170万円 |
そこでX弁護士はD消費者金融およびCカードと「元金(利息カット)60回分割の支払い」の交渉をまとめました。この結果、Aさんの支払いは3万円以内に返済金額を減額され、無事に返済していく目途が立ちました。
また、支払総額についても、このままだと何十万円という利息を支払わなければいけなかったのが、任意整理の交渉がまとまったことで返済額はその当時の残高である170万円で済んだことになります。
過払い金が発生していれば・・・?
任意整理では、キャッシングの利息やショッピングの手数料はカットできますが、借金の元金をカットすることまではできません。しかし、任意整理の手続きの一環で「過払い金」が発生していれば、元金を減額させることが可能になってきます。
「過払い金ってなに?どんなもの?」
過払い金とはキャッシングで行った支払いで「払い過ぎてしまった利息」のことを指します。2007年からは各カード会社や消費者金融も適正な利率でお金を貸し出すところが多くなりましたが、それ以前では、「利息制限法」に違反した金利で貸し出すことが多かったのです。
【利息制限法の上限利率】
元本10万円未満 | 年20% |
元本10万円以上100万円未満 | 年18% |
元本100万円以上 | 年15% |
つまり「2007年以前から」「キャッシングの利用があった」ケースでは過払い金が発生している可能性があり、その場合には現在の借金の元金自体が減額できることも見込めるというわけです。(すでに10年以上経過していることもあり、過払い金が発生しているケースは少なくなってきましたが、皆無というわけでもありませんので心当たりがある場合は弁護士や司法書士に相談されることをお勧めします)
任意整理での借金減額の効果は?
ここまで任意整理における減額の仕組みや減額の例を見てきましたが、任意整理での借金の減額効果は非常に高いということが、ご理解いただけたかと思います。なぜなら、キャッシングの利息やショッピングの手数料は年利で換算されていますから、月々ではあまり気がつきませんが、1年、2年・・・と経つにつれて大きな金額となってくるということですね。
- 100万円の年利15%の場合は年15万円
- 200万円の年利15%の場合は年30万円
- 300万円の年利15%の場合は年45万円
- 400万円の年利15%の場合は年60万円
- 500万円の年利15%の場合は年75万円
この金額を支払う、支払わないで総返済額は非常に大きな差が生まれることになります。借金が300万円を超えた場合には月に支払う利息は3万7500円。これを元本とは別に支払う必要があります。この支払が大きな負担になると行き着く先は・・・他のカードでお金を借りて返済する、そう「自転車操業」状態というわけです。
利息さえなければ支払っていけるのに利息が負担となって支払いが困難な方のために「任意整理」が存在すると言っても過言ではないでしょう。
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