借金生活の苦悩~大場嘉門の場合

01_債務整理(概説)

なぜか、借金の怖さについて広く一般に知られているのに、一向に債務超過で苦しむ人は減らないようです。

でもキッカケは些細なことから始まるように思います。

例えば物語風に書いてみるとこんな感じでしょうか。

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〇月△日 6:30

 

 大手電機メーカー勤務の大場嘉門(おおばかもん)48歳が朝食のコーヒーを飲んでいると、新聞の朝刊を取りに行っていた、妻 舞(まい)が取り忘れていた郵便物を一緒に持ってきた。

住宅販売やゴルフ会員勧誘のDMの中に混じって、クレジットカード会社からの郵便物が数通入っていた。

 一瞬ドキッとしたが、妻に気取られないように、素知らぬ顔でDMをゴミ箱に捨てる嘉門。そして、クレジットカード会社からの郵便物をさりげない様子でビジネスバッグの中に隠すように仕舞いこむのだった。

・・・そう、この郵便物。実はクレジットカード会社からのローン支払い遅延に関する督促状だったのだ。

 大手電機メーカー勤務で営業部長の職に就く嘉門はサラリーマンの同世代の平均年収をかなり超えていたものの、目下最大の悩みとはカードローン支払が限界にきてしまっていることだった・・・。

 嘉門の家族は妻 舞、高校3年生の長男 隼(しゅん)、中学3年生の長女 秋穂の4人家族。平均的な家族構成である。

一家は郊外とはいえ都心への通勤に便利なこの街で、大型5LDKの一戸建てに住んでいる。彼の年齢で見れば、際立って裕福なわけでもないが、学生時代の友人たちの中でもかなり高いレベルの生活を送っていると言えるだろう。

 会社ではやり手の営業部長で通っている、嘉門だが、毎日のように同僚や部下を誘って酒を嗜む毎日である。もともと面倒見が良い、部下からも慕われるていることや、やや見栄っ張りな性格もあって、支払いについては気前よくおごることも多い嘉門であるが、日々の飲み代も馬鹿にならない。

 そんな嘉門の家庭では来春には長男 隼の大学受験、長女 秋穂の高校受験が重なっていた。嘉門自体はそれほどでもなかったが、妻 舞はかなり教育熱心。本人たちの希望もあるが、ブランド志向のやや強い舞は二人に対して名門私立校への入学を目指してハッパを掛ける毎日あった。

そして、もうすぐ迎える夏休み。受験勉強まっただ中の時期であるが、ウィークデーの塾に加え、夏休みには夏期講習や模擬テストなど、月額10万円を超える出費となる。

今日も舞から塾の夏期講習の費用を求められていた。家族の手前、涼しい顔をしてはいるものの、内心は金策について必死に考えている嘉門であった。

 塾や予備校の費用は相応以上のものとなっているが、出費はこれにとどまらない。これに加えて妻 舞の趣味である、カルチャースクールやジムに通ってのフィットネス、夫婦共通のゴルフなど、浪費というには、やや及ばなくもないが、家計を圧迫していることは想像に難くない。

まして一戸建ての自宅となれば毎月の住宅ローンも重くのしかかる。

来週には他のローン会社の引き落としがやってくる・・・。いつも通り、家を出て会社に向かう嘉門だが、心なしか足取りが重いのは無理からぬものでもあった。

〇月△日 11:30

 

 嘉門はいつも通り、やり手の部長らしく仕事をテキパキとこなしていた。今日は取引先との打ち合わせが午前中から入っていた。この取引先とは付き合いが長い割にはそれほど大きい契約には至っていなかったが、今回は大型案件になりそうである。

嘉門は部下の出来杉(できすぎ)君とともに商談に出かけることになっていた。

 出来杉のプレゼンのサポートをさりげなく行い、先方との話がほぼまとまる。次回は契約まで漕ぎ着けることが終わらせることができそうだ。取引先のビルを辞したときに、嘉門は安堵のため息をつくとともに空腹を覚えた。

「おい、出来杉、少し早いが昼飯を食っていこうか」と出来杉に声をかける嘉門。

二人して入った蕎麦屋は開店早々ということで客はまだ少ない。奥のテーブル席で注文を済ますと、出されたおしぼりで顔をぬぐった嘉門と出来杉。商談が順調に進んだためか二人とも表情が明るい。

「そうそう。部長、ご存知ですか?茶羅夫(ちゃらお)のこと」 天ざるを食べながら話しかける出来杉。

「うん?茶羅夫君がどうしたって?」 こちらも天重をほおばりながら答える嘉門。

「あいつ、株やってたの、ご存知でしたよね。どうもかなりの損を出したようなんですよ」

「いや?知らなかったな。」

「なんでも最初に少し儲かったとかで、その後、金を結構つぎ込んだらしいんですがね、裏目に出たらしく・・・」

「で、金に困ったってわけか?どれくらい損出したんだ?」

「詳しくは知りませんけど、貯めていた財形全部、解約してつぎ込んだら、暴落したとかで・・・」

「じゃ、片手(500万円)近くパーか?」

「それだけじゃなくて、取り戻そうとしてカードローンを何社か借りて300万円以上になってるそうです」

「(ドキッ!)そうか。素人の生兵法で大損ってわけか」

「部長はその手の投資とかしないんですか?」

「そんな金ないよ。うちは大金食いが三人もいるからな。堅実に暮らすのが一番だよ」

・・・などとにこやかに会話している嘉門だったが、話題が話題だけに心中は穏やかではなかった。

嘉門は回想していた。

最初はちょっとした資金不足だったのだ。

たまたま休日ゴルフの費用と妻への誕生日プレゼント、部下の昇進祝いに少し豪華な宴席を設けてやった費用の引き落としが重なったときだった。

彼のクレジットカードは年収相応にグレードの高いカードでカードローン枠も相当の金額だった。

少しだけ補てんのつもりでカードローンを使用した嘉門だったが、いつしかローン使用が当たり前となり、限度枠まで来てしまった。

次は提携銀行のカードローン、そして営業協力で作った別のクレジットカード・・・。

今では合計するといくら借りているのかも不明となった。

「いったい債務残高は全部でどのくらいなんだろう?今の俺に返済は可能なんだろうか・・・?」

「部長、そろそろ行きましょうか。部長、どうしました?」

出来杉君の声で我に返る嘉門。生返事をして支払いを済まし、店を出るのだった。

〇月△日 18:00

  取引先から帰社した嘉門はてきぱきと仕事を片付けていく。

休憩をとるため、離席した嘉門は今朝方、地元の駅で配布していたポケットティッシュを持って、ビルの外に出ていた。

ポケットティッシュの裏には「ご利用は計画的に ア○イ○ル」と書いてある。

そう、有名な消費者金融の広告である。

ビルの脇で何やらスマホで話し込む嘉門。どうやら話は終わったようである。

定時を迎え、早帰り日の今日は部下も仕事を切り上げて、帰り支度に忙しい。

「部長、これから何人かで呑みに行くんですけど、ご一緒されませんか?」

いつもなら二つ返事で応諾する嘉門だったが、この日は珍しく断って、エレベーターへ急ぐのだった。

彼はどこへ急ぐのだろうか?

そう、金策のため、新たなサラ金へ融資申し込みに向かうのだった。 

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・・・少々長くなりましたが、中年サラリーマンで債務超過となってしまう多くの場合は、こんな経緯なのかもしれませんね。

 

さて、大場嘉門はどうやって債務生活から脱却を図れるんでしょうか。

彼が向かうべき場所はサラ金ではなく、司法書士事務所や弁護士事務所でしょう。

往々にして多いのは安易な借金が膨れてしまうと、周囲に相談できないことのようです。

友人や会社の同僚、上司などは金策以外では頼りになっても、ことお金の場合は手助けできないことが多いし、そもそも「恥ずかしくて相談できない」のです。

さて、債務整理のお話としてキッカケについて長々と小説風に書いてみました。

(共感される方ももしかしたらいらっしゃるかもしれませんね)

 

 

 

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